第2話 脳に異常はなかったので、状況を楽しむことにした。

 脳の検査は特に何の異常も無かった。


 流石に「猫の言葉が聞こえる」とか言い出したら、脳に異常が無くても、精神病院にぶち込まれるのは確実なので、吐き気がするとか適当な理由をつけて診てもらった。


「にゃあ~、おいしいにゃあ~」

「……」


 ちなみにミケは俺の膝でちゅーるをキメている。


「なあミケ、今日歩いてたら黒猫に前を横切られた上に、声かけられたんだが」


 なんか「撫でさせてやってもいいぜ!」とか言ってた。


「あ、たぶんそれ野良猫のクロスケちゃんだにゃあ、ご主人は猫にモテるから、そういう事もあるんだにゃあ」


 猫にモテるのか……教室の隅っこで寝たふりしてる俺がなあ。


「嫉妬とかしないのか?」


 本、というかネットでそういう話を聞いた気がする。


「言葉通じてなかったら、暴れたり威嚇したかもにゃ」

「ん?」

「めんどくさい猫だと思われたくないので、嫉妬してないふりしてるにゃ」


 め、めんどくせえ……


「そういうわけで、ご主人には構って欲しいにゃ、耳の裏わしゃわしゃとか、そういう愛に溢れたスキンシップを所望するにゃ」


 なるほど、そういうわけか。


 俺は空になったちゅーるの袋をゴミ箱に放り込んで、ミケをわしゃわしゃとかまってやる。


「にゃ、にゃっ!? ご、ご主人! はげしっ、うひゃ!? にゃははははっ!!」


 耳の裏どころじゃない、お腹とか首とか、とにかく全身をわしゃ―っと。


「どうだ、構ってやってるぞー」

「にゃはっ! にゃはははっ!! ちょ、ご主人っ! にゃははははっ!!」


 ミケの声は心底楽しそうだった。

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