番外編 この世界のあれこれ(設定資料:地理編)

・山に囲まれた町 マウリア


 ラングの生まれ育った町。町の周囲は標高二千メートル前後の山々に囲まれているのが特徴。人口は三万人ほどの小さな町。大陸の東寄りに位置し、内陸や海沿いの王都へ向かう人々の旅の休憩地として使われることが多い。

町の出入り口は東門と西門の二ヶ所あり、東門の周囲には飲食店が多く見られる。西門付近には馬車などの借り受け所のほか冒険者の道具や鍛冶屋など旅人の利用する施設が並ぶ。

ラングの家のような宿屋や飲食店、皮や金属の加工店などが多い。また山でとれる資源をよく利用するため獣肉や植物の加工技術が発達している。逆に外敵に晒される機会は少なく、他の地域に比べて兵器や戦道具は発展していない。

主食は米と小麦、豆などを栽培している他、狩りで捕れる獣や魚などがよく食べられている。干物や燻製も作られ、外部から持ち込まれる食品も多く貿易もさかんに行われている。



・平原の壁内都市 プレイシタ


 ラングの一人目の雇い主、ヒルグラム=ウェンティコの旅の目的地となった町。マウリアの南西に位置し、王都との往来が最も盛んな都市。マウリアを囲む山々の先に広がる大平原の中に存在し、外敵から身を守るために都市の周りをぐるりと壁に囲まれている。

王都を守る王都騎士団の拠点の一つが発展して都市になった経歴をもつ。ラングは都市に入らなかったが、町に入るには騎士団の許可証が必要など出入りに厳しい制限がある。拠点である城のほか、騎士達の生活を支えるため一通りの店が揃っている。王都騎士となった後にこの町に居を構えるものも多い。

王都騎士団を最大の顧客として作り上げられた町であるため、農業は発展していない。生産業や交易は他の地域より発展しており、鉄や鉱石の加工には外来の職人を多く引き込んでいる。



・大陸最大の貿易都市にして国の中枢 王都レコンキングス


 マウリアを含む大陸国家の中枢機関である王宮を置く都市。人口百六十万人の大都市であり、「王都にないものは世界中どこにもない」と言われるほど物も人も豊富である。海に面した立地であると同時にその背後には険しい山々がある。山と海の二つから資源を得ながら貿易も盛んに行われ、急速に発展した都市。

とにかく物資の豊富な街であるため産業も様々であり移り変わりが激しい。特に魔術と兵器開発の二つは国の補助もあって工房が次々作られ消えていく。

大陸の内外問わずに人も物も集まる都市であるレコンキングスはその性質上主食や文化を明言するのが難しい。定住する人間も既にレコンキングスの外から来た人間が多く混じっていることから、昔あった伝統などは風化しつつある。

王宮が置かれてからはレコンキングスという名前はほとんど使われず、多くの場合王都とだけ呼ばれている。これは現国王アルハンドラ=レコンキングスの名前から取られた都市名に改名された為に定着しなかったことも原因であると思われる。




・北の辺境 アイスレフ


 ヒルグラム=ウェンティコの生まれ故郷。マウリアから二百キロ程離れた北の地にあった小さな村。人口約五百人。立地は一年中氷に閉ざされた山々の麓であり、生活の大半を狩りで得たもので支えていた。植物を育てるのが困難な土地であり、狩猟に出る女性も多かった。

寒さに強い豆類や発酵食品、干物などを主食としていた。木の実や小型の哺乳類などもよく食卓に上がっていた。

狩猟文化であったため武器や罠の類いは独自の発展を遂げていたが外部との接触が非常に少なく、村の外で扱う者は皆無だった。国内を巡回する騎士団も数年に一度訪れる程度だった。

近年、危険生物と認定されるヨルンドラコの襲撃を受け壊滅。王都騎士からの報告により地図から抹消予定。

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