サキュバス、メイドインヘブンのためにドロローサへの道を歩みました14
「しかし寝ちまって大丈夫か? こんな馬鹿とはいえ人手はいるだろう。もう一人来るとはいえ」
「大丈夫大丈夫~十分くらいで目覚めるように調整しておいたから~」
「そんな器用な事もできんの?」
「うん。なんか、いつの間にかできるようになってたんだ~」
「へぇ~不思議だな~ところで飲み物なんだが」
「あ、ごめんね~すっかり忘れてた~時間はファーストドリンク提供時からカウントダウンされていくから安心してね~」
「当たり前だ。じゃあ俺生。お前は?」
「同じでいい」
「はい~生二丁~……ってばかちん~? お子様がお酒飲んじゃ駄目でしょ~? コースもワイトだし~? 無理~?」
「じゃ、二人供サタンコースに変更で」
「了解~それならオッケ~ってなるわけないじゃ~ん! だからぁ~子供はお酒は駄目なんだって~。今の時代~提供した側が法律で罰せられるんだよ~? この店潰す気~? 」
「ふぅん。じゃあウィスキーコーラで割って出してやってよ。お互いシラフじゃ気恥ずかしいし」
「不良とその親~? なんかクラスにいたけどそんな家族~もれなく白目で見られてたよ~? やめよ~そういうの~? 清く正しく生きていこ~? お酒は駄目~NG~モラルとマナーは守ってくださ~い」
「……しゃあねぇなぁ」
スマフォ取り出し。タップタップ。
トゥトゥトゥ、トゥトゥトゥ、ペペポペペポペペポペポポポン。ペペポペペポペペポペポポポン。ペペポペペポペッ。
「あ、もしもし課長? ごめん。今新装開店した課長の店に連れてこられてるんだけどさぁ……そう、ムー子に。うん。うん。あ、分かった。起きたら伝えておく。え? いや、寝てるけども? めっちゃ寝てるけども。あと普通に遅刻してたよ。本人は開店時間に間に合ったっていってたけど開店準備はほぼ九雲スイがやってた。あ、そうそう。クリスタルね。そういえばクリスタルとどういう関係なん? ……あぁ、阿賀ヘルと俺が飲んでる時に。なるほど。ふぅん。まぁ、確かにそういう部分は大事ではあるかもしれん。あ、すまん話がそれたわ。で、今そのメイド喫茶にいるんだけどさぁ、隣にピカ次がいんのよ。今こいつ、見た目キッズじゃん? だから酒飲めんのよ。うん。俺もそう思う。しっかりしてるよな。それを踏まえてさぁ、ちょっと伝えてくれね? 実際こいつ飲んでも悪影響なんてないだろうしさぁ。あ、うん。え? 戸籍? ちょっと待って……ピカ次君。君今、戸籍どうなってんだっけ」
「バイオニクスラボのオヤジの息子になっている。前話しただろう」
「あぁそうだっけ? すまんすまん……あ、もしもし~? なんかバイオニクスラボのオッサンの息子って事になってるらしい。あ、無理? そうだね。たしかに体裁は悪いね。あ、じゃあこうしよう。二時間貸し切り。当然金は出すから。今客居ないし。なんならオープン時間ずらすとか……あ、うん。あぁ、もしかしてチラシとかオフィシャルサイトで告知済み? ……それじゃ無理……あ? え~? なんで? そんな事ある~? いや、課長らしくないミスというか……え? うん。あ、そうなの? 注文書に書いてあるって事は、受注側の責任じゃん。うわ~自分の身に起きたらと思うとぞっとしねぇわ。考えたくね~というか、サイトもチラシも? あぁ同じベンダーに……なるほど一括で契約したのか。ふぅん。それは別々の方がいいと思うなぁ。いや確かに手間は省けるけど、そういう事してるとこってなんか信用ないんだよなぁ……いや、業界あるあるだけどさ。うん、うん。あ? あぁ、うん。やってるやってる。あ、そう? 分かった。じゃあ今度上長に話してみるわ。ていうかこれ、デ・シャンにバレたら怒られるんじゃね? ……あ~なるほど。了解。じゃ、それまでいていいって事ね? じゃあその間ピカ次に酒を……あ、了解。あ? いいよいいよ。金は払うから。課長にはいつもよくしてもらってるし、それに初日から自爆なんてケチつけたくないだろ。うん。金の事は問題ないって。ちなみにいくらくらい? うん。三十? 了解。あ、その代わりといっちゃなんだけど、ちょっとお願いがあるんだけどさぁ。ムー子の馬鹿への詰めはちょっと軽くしてやってくれると。うん。いや、別に何かあったってわけじゃないんだが、課長、あいつの資産最近差し押さえてるじゃん。なんか不憫に思えてきて……うん。まぁ、なんだろう、徳を積んで来世に持ち越したいなって。うん、ははは。了解。うん、うん。はい。じゃ、よろしく~は~い……」
ティロリン。
「ピカ太さん、鳥栖さんと話してたんですか~?」
「あぁ。で、多分すぐ連絡くると思うけど、クリスタルちゃん。今からこのお店、貸し切りになるから」
「なんで~?」
「なんかな? 広告とオフィシャルページの作成を同じベンダーにアウトソーシングしてたらしいんだけど不備があったみたいで。AMとPMを間違えてたんだって」
「あ~通りでお客様が来ないわけ……あ、しまった~」
「あん? どうした?」
「看板オープンにするの忘れてた~」
「ま、それも今となっては不幸中の幸いだな」
しかし、自業自得とはいえゴス美に詰められる下請けも可哀想だな。俺も似たようなミスしないように気を付けよう。
「あぁあと、ピカ次にも酒飲ましてもいいって」
「それはいくら鳥栖さんの意向でも聞けないな~? 未成年飲酒や喫煙は絶対ダメなんだよ~?」
「大丈夫だって。こいつ大人だから」
「確かに大人びてるけどさ~さすがにそれは~……あ、鳥栖さんからメッセきたからまって~……あ、あ、あ、そう、そっか~、うん、うん」
「……? どうしたクリスタル」
「ピカジサンハ セイジンズミ 把握したよ~。じゃ、生二つね~?」
「……」
……何があったから知らんが、聞くのはやめておこう。
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