サキュバス、諸行無常の響きを奏でました18
「いいから落ち着けよ。また朝来て頼めばいいだろう? 徒歩数十分。電車で五分の距離なんだし」
「今度じゃなくて今がいいんですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! 私は今日ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! 甘くてしょっぱいふわふわしたあれが食べたかったんですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! どうしてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? どうしてこんな事になってしまったのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!? 私の馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! なにがつよつよのバリキャリぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! クソでしかないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! 注文をソラで言えるなんて嘘だったじゃないですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! このムー子注文の中で注文を忘れたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
スゲーしょぼいランバラルだな。それはいいんだげども……
ヒソヒソ
ヒソヒソヒソヒソ
ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒクソングレイシー
ヒソヒソされてる。
めっちゃヒソヒソされてる。
白眼視からのヒソヒソトーク。これは社会的に結構キツめの制裁。並の人間なら即刻胃に穴を空けるような多大なストレス。俺だから、社畜だから我慢できた。まぁ社畜っていっても長時間労働やってるだけで実際そこまで虐げられたり無茶な要望があるわけじゃないんだけども、その辺でぬくぬくしている一般サラリーマンよりは耐性があるはずだ多分。でもあいつらも学生時代に頑張っていたからそういうホワイト一色な職場で働けて幸せな生活を送っているわけだし、そもそも働いている以上相応の修羅場くらいは経験した事もあるだろうから一概に「あいつらに悩みなんてないんだろうなぁムカつくなぁ殺そ」なんて短絡的思考に陥ってはいかんよね。人間だいたいがその人なりの苦悩を抱いて生きているのだから! とはいえ……
「ヴぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! ヴぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! ヴぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
この目の前の馬鹿みたいな奴に対してはまったくそんな事思わないしもう少し真っ当に生きろと言いたくもなる。言ったところで聞きやしないんだろうけど。
ただこの場でいつまでも騒音まき散らされるとそれはそれで迷惑だしいい加減うざいから手は考えねばならんな。力ずくで黙らせてやってもいいが店内での暴力行為は避けたいところ。今のご時世動画を撮られて拡散されてしまうから穏便に解決しなければならないだろう(めんどくせぇなぁ)。しゃあない。ここはひとつ俺が、社会のために一肌脱いでやるとしますか。
「ヴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! ヴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! ヴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! ヴゃ……っぐ! げヴゃぼぶ! げびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!」
「おいムー子いい加減泣き止めよ。ほら、この店内備え付けの紙ナプキンでその汚い涙鼻水涎を拭え」
「そんな事言いましてもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! この悲しみは止まらないんですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! 私の今日の生きる糧が失われた今ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! 一度死んでしまったといっても過言ではありませぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! ちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!」
きたねぇ音出して鼻をかむな。
「お待たせいたしました~こちら、ハニーチーズモーニングのハッシュドポテトセットとンジャエール。それとパンケーキとミルク。グリーンサラダとトライアングルショコラパイでございま~す」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉヴぇっへごぼぉ……すぅ……ございまうすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
「noisy……お客様~申し訳ございません~もう少しお静かにお願いします~」
「すみばぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」
全然詫びる気も直す気もないなこいつ。
「すみません。すぐ黙らせますので……」
「よろしくお願いします~」
ふぅ……いらん注意を受けた。まったく、こいつと店に入ると毎回なにかしらトラブルが発生する。どうにかしてほしいもんだ。
「ヴェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェいだだぎまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁず!」
台詞だけ聞くと妖怪腐れ外道みたいだな……親戚みたいなもんか……それは置いておいて、仕方がないから仏心を出してやるか。
「おいムー子。しゃあないからそのパンケーキ、俺のハニーチーズモーニングと交換してやるよ」
「ヴェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ……え? な、なんですって?」
「だから、かえてやるって言ってんだよ」
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