サキュバス、合コンって言葉が死語になりつつあるって事に時代の流れを感じざるを得ませんでした17
「いいですね! どこに行きますか!? 串カツ!? 串カツにしますか!?」
やめてくれこの時間から揚げ物とか。しかも二軒目やぞ。あ、でもさっきの店全然料理食べなかったしワンチャン……いいや駄目だ。この前仕事のストレスを発散すべく一人で自棄焼肉したら次の日胃もたれで動かなくなったんだった。揚げ物など言語道断。大いに控えるべきである。昔は余裕だったんだけどなぁ深夜の唐揚げとか……くぅ……加齢が……! 加齢が憎い……! もう二十一時を過ぎて胃に入れると全部ダメージに換算されてしまう身体になってしまった……! これが老いか……! そら真島の兄さんも「最近脂っこいもん受けつけぇへん……」なんて言って凹むわ。食べたいのに食べられないって結構なストレスだよね! アニメとかで敵キャラが若さを求める理由が分かった! というかムー子お前、俺と同年代だろ。なんでそんな健啖ぶりを発揮できんだよくそ。羨ましいな。
「ムー子。あんた最近中性脂肪が溜まってるから揚げ物は控えなさい」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? 肉に次いで大好きな揚げ物を封じるとか課長!? 正気ですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? そんな死んでまうがなぁ!? なぁ? ピカ太はぁん?」
「いや、知らん」
「知っといてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ私から揚げ物を取ったら死ぬって知っといてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? 必須! 必須栄養素ですから! 脂isマイボディ! アンリミテッドフライドワークスですからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「そんなんだからケツに吹き出物できるんだよ」
「おっと心は硝子ですよ? え? なんで? なんでピカ太さん、私がお尻ニキビで悩んでる事ご存じなんですか?」
「私が教えた」
「hairyo/zero~~~~~~! 課長! ちょっとそういう乙女の悩みは控えめにお願いいたします~~~~~」
「だったら不規則な生活してんじゃねぇよゴラァ!」
「ひぃ~~~~~~~すみませ~~~~~~~~~ん!」
こいつら夜になると元気になるな。さすが淫魔。でもうるさいし人目引くからやめてくれ。割と恥ずかしいから。人がねぇ。集まってきてんすよ。夜の繁華街でプークスなんすよ。晒し者なんすよ。
もうすっかり死語になったなプークス。何年前だ? 十年くらい? ちょっと調べてみるか……スマフォスマフォ……タップタップ……TwitterTwitter……出てきた出てきた。あ、でも以外と使ってる人いるな。しかしこれ、アイコンから察するに全員三十代以上だわ。昔VIPが流行ってた頃、オマエモナーっていってる人見てスゲー冷めた記憶があるんだけどなんかそんな感じだわ。というかこれ、ひょっとしたら俺が知らず知らずのうちにそんな目で見られる可能性もあるな。怖ぁ……マザーテレサさんの格言の通り、言葉遣いには気を付けよ。
「やや!? 輝さん!」
おっと誰だ気安く俺の名前を呼ぶ奴は……っと、なんだ。よく知った顔じゃないか。こんなところで奇遇だなおい。
「店長じゃん。久しぶり。元気してた?」
「いやいや! 久しぶりもなにも! 先ほど! 先ほど一緒だったではございませんかぁ! というか急にいなくなったから探したんですが。電話も何回もしたし。これはちょっと冗談じゃ済まされませんよ?」
「あ、すみません……」
マジなトーンなので謝罪。まぁそりゃあそうだよな。俺だって突然飲み会の席で一人いなくなったらクソビビるもん。
「まぁともかく無事でよかっ……おや? 輝さん。そちらにいらっしゃるのは、以前お店にいらっしゃった方ですね?」
「ご無沙汰してま~~~~す! 貴方の無くした夢の欠片! 魔法の国の十八歳! 島ムー子です!」
「……きっつ」
「あぁ? なんか言いました店長?」
「いえ、特になにも。それと、そちらにいらっしゃるグラマラスな方は?」
「どうも。鳥栖ゴス美です」
「あ、これはこれはご丁寧にどうも。私、三アダと申します」
そうか。店長ゴス美とは初対面か。よかったな。友達の輪が広がったぞ?
「輝さぁん。合コン抜け出して他の女と合流するとか、傾奇過ぎじゃございません? え? なにこれ? 大ふへん者ですか?」
「まぁこれには深いわけがあってな……それより店長。なんで店長一人なの? 他は?」
「はい。それが、停電の後、輝さんもなくなりましたのですぐに解散となりまして、店長と阿賀さん以外はみんな二次会へ旅立ちました」
「え? ハブられたの店長」
「輝さんが心配で探しに出てたんですよ」
「……すみません」
本当にごめん店長。そんな義理堅い人だとは思いもしなかったよ。
「本当に勘弁してくださいよ? 今の世の中物騒なんですから……」
「今後気をつけます」
「本当に次はやめてくださいね? あぁそれと、もう一つ。失礼ですが輝さん。貴方、阿賀さんとどういった関係なんですか?」
「? どういった関係もなにも、ただの知り合いというか、客と不動産屋の従業員の関係なんだけども」
「そうですか……」
「え? なに? どうしてそんな事聞くの?」
「いや、実は帰る途中阿賀さんを見かけたんで声を掛けようとしたら電話中だったので、まぁいいやと思って立ち去ろうとしたんですが、ですが、たまたま声が耳に入ってしまって……」
「入ってしまって?」
「……こんな事を言ってました」
"申し訳ございません。失敗しました。しかし、次こそは必ず成功させます。"
”はい、次こそ……"
"輝ピカ太を、貴方の前へ連れてまいります。"
「……って」
「……」
ホラー?
いやいや。怖い怖い。なにそれ? なに? 目的が分からん? これあれじゃん。ゴス美が言霊使ってたっていうのと併せると超危険案件じゃん。え? なにこれ? 巻き込まれ系主人公ってやつ? 「とほほ~~~どうして俺がこんな目に~~~~」ってやつ? 馬鹿! 冗談じゃないぞそんなもの!
「その後はどこかへ行ってしまいましたが、心当たりがないのであれば気を付けた方がいいのでは?」
「……そうだね。ありがとう店長。教えてくれて」
まぁいい。これで次会ったら躊躇なく殺せる。見つけ次第殺そう。いや、その前に目的を聞かねばなるまいか。誰が何の目的で俺を連れてこさせようとしているのか聞かねば安心できないからな。いったい誰なんだろう……本当に心当たりが……
「ピカ太さぁん! 店長! 早く飲みに行きましょうよぉ!」
あれ? あいつらいつの間に道進んでんの? そんなに酒飲みたかった? 俺がピンチかも知れないって時に、呑気に酒飲みたいって?
いや、そうだな……
そうそう。そうだそうだ。馬鹿の考え休むに似たり。今日は飲むか……酒を!
「まぁ、行こうぜ! 店長!」
「え? 店長も参加する感じなんですかこれ?」
「あったりまえじゃん! 店長いないと始まらないじゃん! ほら! あの子呼ぶから!
「ちょ、ちょっとぉ!? あいつは関係ねぇべぇ? なん……なんで急にあいつの名前だ出すっぺかぁぁぁぁ? 分からぁん! 俺にはちっとも分からぁん!」
どこの言葉だそれは。
「ピカ太さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!? 店長ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!? まだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「分かった分かった! 今行くよ!」
今日はもう飲もう! これからの事は! 明日考える!
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