第2話

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外で待機していた近藤らも只三郎らも中らか聞こえて来た笛の音を聞き一時的に全員が困惑する。

「何だ?この笛の音は」

近藤が困惑した口調で言い笛の音が止んだ。大通りや店に居た客や遊女が笛のがした天下蝶を見る。

「何だ?」

大通りに居た男性の客が呟くといきなり左右の店の入り口の板戸や二階の窓の柵を声を荒げて蹴破り続々と不逞浪士が刀を抜いて勢いよく大通りに出て外で待機していた近藤らと只三郎らに襲い掛かる。

近藤らと只三郎らは一斉に振り向く。

「やっぱり伏兵が居たか!全員、応戦だ‼︎」

後方に居た永倉は声を荒げながら刀を抜きながら組員に指示をし組員達も急いで刀を抜く。近藤、歳三、島田、只三郎、今井も刀を抜く。

「ほら見ろ!伏兵が居ただろう!」

歳三は只三郎と今井に怒りの口調で叫ぶ。

「トシ!今はそんな事を言っている場合じゃない。奴らが来るぞ!」

近藤が歳三を強い口調で宥める。そして先頭に居る永倉は叫びながら襲って来る不逞浪士達に向かって突進する。そして永倉に続くように他の組員達も叫びながら不逞浪士達に斬りかかる。

一方で大通りの見える二階の窓側の通路で不逞浪士と戦っている政宗は素早い動きで相手している不逞浪士の刀を弾き飛ばし、すかさず横払いの斬撃を繰り出して倒す。すると外が騒がしく気になり窓から外を見て驚く。

「大変だ!」

政宗は走って中央で戦闘する沖田と斎藤の元に向かい不逞浪士を倒した二人に外の事を話す。

「総司さーーーん!斎藤さーーーん!大変です!」

斎藤は慌てる政宗を落ち着かせる。

「落ち着くんだ政宗、何があった?」

「外にいる近藤さん達が今は大勢の不逞浪士と交戦中!しかも近藤さん達が押されています!」

政宗の報告に沖田が驚く。

「本当か⁉︎それはヤバいぞ!」

政宗は急いで階段を駆け下りるが、斎藤が止める。

「待て政宗、まだ此処の不逞浪士を片付けてないぞ」

政宗は立ち止まって振り向き緊迫した表情で話す。

「今は此処よりも近藤さん達です!加勢行かないと全滅します!」

沖田と斎藤は顔を向き合って一緒に頷き、そして沖田は政宗に向かって頷く。

「分かった!じゃ此処は他の奴らに任せて僕達は急いで加勢に向かおう!」

政宗も頷く。

「はい!」

政宗は再び駆け下りその後ろを沖田と斎藤が後に続く。

一方、政宗とは反対の一階の窓際の通路で不逞浪士と戦っていた華苗が不逞浪士の横払いを素早い動きで姿勢を低くして避け心臓目掛けて突きを繰り出す。

不逞浪士は倒れ華苗が立ち上がり外が騒がしくなっている事が気が付き外を見て驚き、急いで二階に居る彩芽に向かい下にから向かって大声で叫ぶ。

「彩芽さん!大変です‼︎」

不逞浪士を捜索していた彩芽が華苗の声に気付いて駆け足で階段を降りる。

「どうしたの華苗?」

「外で待機していた班が大勢の不逞浪士と交戦中です!」

彩芽は華苗の報告に驚く。

「何だと⁉︎くそ!どうりで人数が少ないと思った」

すると政宗と沖田、斎藤が勢いよく階段を駆け下りる。その光景に彩芽は大声で政宗達を止める。

「おい!政宗、外の支援に行くのか?」

政宗は慌てた口調で答える。

「そうだ!急いで向かわないと!」

「中はどうする?まだ残っているかもしれないぞ?」

「中は他の組員に任せて、今は外に居る近藤さん達を助けないと!」

彩芽は納得した表情をする。

「そうよね、私も行くわ!華苗、一緒に来て!」

華苗は大きく返事する。

「はい!」

政宗達の後に続くように彩芽達も外に出て近藤達の援護に向かう。

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