第7話魔女の脅威

「誰がオバサンだごらぁ‼️」

 オバサンという言葉を聞いたとたん、月影響子はぶちギレて美奈子につかみかかった。


 いや、美奈子よ、それはいいすぎたよ。

 女子中学生の美奈子から見たら、月影響子は年上だけどあの美貌はオバサンでは決してない。

 それにしても普段は内向的な美奈子がこんな言葉を使うなんておかしいぞ。


「熱い‼️」

胸ぐらをつかんだ月影響子はそう叫び、後ろに跳んだ。


「お兄ちゃん、熱いよ。すごく熱いよ。それにずっと誰かが殺せっ壊せって叫んでるよ」


 僕は月影響子の瞳を見た。

 彼女も僕を見た。


 もしかして彼女も魔女症候群ウイッチシンドロームなのか。


「お兄ちゃん助けて……」

 そう言い、美奈子は僕に手を伸ばす。

 もし、美奈子が魔女症候群なら僕の匂いを嗅げば、元に戻るはず。


 僕は美奈子の手を掴もうとする。


「そうはさせない」

 美奈子ではない別の低い声が発せられ、次の瞬間、猛烈な熱風で僕たちは吹き飛ばされた。


 とんでもな熱い風に吹き飛ばされて、次に見たのは夜空だった。

 やばい、このまま落下したら死んでしまう。

 だが、僕にはどうすることもできない。

 と思っているところにとんでもなく柔らかなものに包まれた。

 月影響子は僕を抱きかかえ、華麗に着地した。

 いや、間近に見た月影響子の美貌は半端なかった。


 「殺す壊す殺す壊す」

 不気味な声を発し、美奈子は僕たちの前方に着地した。


「このままではあの子は魔女に取りつかれるわ。でも、私に任せて。きっと助けてあげるわ」

 そう言う月影響子の右手には見慣れたものが握られていた。


 あれって……。

 下半身がスースーする。

 僕は自分の分身を見た。

 ふぇ、何もはいていない。


 月影響子は僕のパンツを握りしめていた。


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