第255話 召喚の順番に変化があったのだろうか
彼らは皆同じ高校の人間だが、彼女が言った先輩とは別の意味だ。なんて今更だな。
彼女のスキルは“感知”。探知系が物を探すのと違って、感知はその名の通り何かを感じる系だ。
今の所はちょっとした虫の知らせ程度だが、成長したらどうなるのかは分からない。
なぜそんな事が気になるかと言えば、彼女の名には覚えがあったからだ。
地上に居た教官組の一人。直接の面識は無かったが、名前だけは知っていた。
俺が聞いた限り、クロノス他に3人の古い召喚者がトップに君臨していたという。
その後に教官組が来たような話を聞いていたが、この状態が正しいのだろうか? それとも順番がずれた?
まだ分からないが、ここは見守るしかないだろう。
他は男性1人に女性が2人。
全員釜石第2高校だそうだ。まだ着ている制服も全員一緒。これからどう変わっていくのか興味深い。
頼むから、それだけ生き残ってくれよ。
残る男性は
18歳で三年生と、この中では彼らのグループ内では一番年上だ。だけど全くそうは見えない。背は158センチと低めで、色白で体も細い。部活もやらず、帰宅部だそうだ。
趣味は何もしない事。仙人かこいつは。
これで美少年だったら絵に描いたような男の娘になりそうだが、残念――いやそう言っちゃいけないが、細長の顔に突き出た顎。目つきも悪く、あまりモテるタイプでは無いな。
まあ見た目で人を判断してはいけないが。
名前でももちろん判断しないぞ。親の顔を見てみたいとは思ったがな。
ただ俺は、スキルでは人を判断する。彼のスキルは“乾燥”。濡れた洗濯物も、大体1時間ほどで乾かせるそうだ。
きっと水場の多い
一方女性は一人目が
高校1年生で、このグループでは最年少だ。身長は160センチってところか。少し痩せ形で、少し愛嬌のある円に近い眼鏡。他の皆と同じ制服ではあるのだが、魔女のような三角帽子を被っている。召喚された時から被っていたから、自前の品だ。正直何でと聞きたくなる。
中学高校と陸上部だったそうで、特に中距離が得意だそうだ。趣味は食べ歩きと友達とのおしゃべり。いや本当にその魔女帽子何で持っているの?
ちなみにスキルは“コピー”。名前を聞いた時は凄いと思ったが、紙や石板に描いてある文字を正確に複写できる程度だそうだ。人間コピー機かよ。
こちらも、これからの成長に期待しよう。せめて3Dプリンターくらいに成長してくれれば用途が一気に広がるしな。
最後の女性は
2年生だそうだが、少し大人びた感じがする。身長は165センチってところか。
少しショートカットに近い髪型だが、長めの前髪を左右に流している。胸も普通サイズだが、あまりじろじろ見るわけにはいかない。
認識を阻害しているとはいえ、視線というものは結構敏感に察するものだし。
女性にこういうのもなんだが、
案外緊張しているだけで、普通にしていたら普通の女の子ではないだろうか。
スキルは“物品操作”。ここに来て、ようやくまともな戦闘要員が来たという感じか。
まだそれほど重い物は動かせず、数にも制限があるが、軽めのダガーなら3本ほど。矢とかなら10本ほどを自在に操ることが出来る。
先ずは戦える人間がいてくれて一安心。
後は生き延びてくれればいい。時間をかけて育てれば、スキルも肉体も召喚者として成長する。
そうなれば、スキルが使えなくとも肉体的に人間にやられるような事は無いだろう。
ハッキリ言って、前回の三人と
それが死因とは言いたくは無いが、成長を遅らせた分だけ弱かったことは事実だ。
「君達には、これから俺と一緒に迷宮に入ってもらう。だが俺はいないものだと考えてもらいたい」
「いきなりですか!?」
そりゃ当然か。俺ももし召喚されたばかりの時に、そんな事を言を言われても困るだけだ。
ああ……教官組みたいのが欲しいなぁ。
だけどそれは、彼等がこれから成長することで成って貰いたいんだ。
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