第195話 THE
リンネのHPは0になった。
12歳から今日までの4年間、ほぼずっと一緒に過ごして来た彼女は、今日死んだ。
僕の裏切りのせいで。
◇
私はHPが0になった。
死んだ。
否、死んだように見せかけているだけだ。
ラストダンジョンでの戦いの中で、身に付けたスキル『
HPを0に見せかけて死んだように見せかける。
私はクナイを喉に突き刺し、自殺した様に見せ掛けた。
倒れたままの私は、エリスを狙っていた。
ユウタと向かい合っている彼女を殺す。
◇
「ユウタ、これで完璧ね」
エリスが辺りを見渡して、そう言った。
完璧?
一体、何が完璧だというのか?
「あとは、あのエルフだけど……見当たらないわね。まったく、一番騒いでたくせに、殺されると分かったら逃げ出したのね」
ああ、そうだ。
僕が皆を殺した。
だから、僕とエリスの未来を邪魔する者はいなくなった。
だから、彼女は完璧だと言ったのか。
それにしても、フィナが逃げた。
僕を救世主に目覚めさせ、僕を愛してくれたフィナが僕を捨てた。
「ははは! そうだね!」
僕は声を上げて笑った。
フィナは僕に愛想を尽かせたんだ。
気付いたら僕を慕い、集まって来てくれた者は、皆、死んだ。
「あはははは! 僕はエリスと一緒に居られて幸せだよ!」
僕は自分自身に対して笑ってしまった。
まったく、最低の存在だ。
「あ、最後にもう一人、邪魔者がいたわ」
エリスが思い出したかの様に手を叩く。
「え? 誰?」
僕は辺りを見渡した。
「誰もいないよ」
「いるわよ」
「え?」
「あなたよ」
◇
一緒にどこか遠くへ逃げよう。
そう誓った夜、彼女に裏切られた。
◇
ユウタは、私と出会ったあの夜と同じ様に、エリスに裏切られていた。
あの時と全く同じだった。
◇
「私にとり込まれることで、私達は永遠に一緒になれるの」
「エ……エリス……」
彼女の頭が二つに割れ、中から触手が飛び出して来た。
つづく
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