ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第180話 修正のあたりが大きすぎて、システムとして影響があり過ぎる。それでも……
第180話 修正のあたりが大きすぎて、システムとして影響があり過ぎる。それでも……
<正確には、この改修に関してだけは簡単な話じゃない>
アスミは繰り返す。
「どういうことか説明しろ」
リンネが詰め寄る。
<ダメージ計算式は、魔界プロジェクトの中枢に当たるプログラムに記載されている。その中枢プログラムをコピーして我々、人間用のものを作る。そこまでは簡単だ。だが、テストする時間は無い。だからどんなバグが起こるか分からない>
「どんなバグが起るというんだ?」
<中枢プログラムだけあって、さまざまなプログラムから呼び出される。それらとの結合テストを行わずにリリースするということになる。もしも改修漏れがあれば呼び出し元のプログラムにも影響がある>
作るのは簡単だが、どんな副作用が起こるか分からない。
僕にはアスミがそう言っている様に聞こえた。
「つまり、コピーして作ったプログラムに修正ミスがあれば、とてつもないバグを起こすかもしれないということか?」
<うむ。これまでのバグとは比べ物にならないくらいのものだって起る。所詮、プログラムから作り出された電子データである我々がどうなるかも分からないくらいのバグだって起る可能性がある>
諸刃の剣という訳か。
リンネが僕を見た。
「私は覚悟出来ている。ユウタ。お前が決めろ」
<分かった……>
僕は通信を止め、皆に向き直った。
ガイア、フィナ、セレス、ウエンディに向かってこう言った。
「僕はこれから神に祈る。強い力を得るために」
皆、頷いた。
「そのために、皆が辛い目に合うかもしれない」
「大丈夫ですよ。ユウタさん」
ガイアが僕の手を取った。
「何があっても一緒です」
彼女の柔らかい手の平に、僕の緊張で硬直した指が包まれた。
気持ちが穏やかになって行く。
「あっ! それ、フィナの役目!」
フィナが僕に抱き着いてくる。
「ユウタさん……私も……」
ウエンディが顔を赤らめ恥ずかしそうに口を開く。
セレスが彼女の肩にそっと手を触れ、落ち着かせようとする。
「よし! やってくれ! アスミ」
リンネがアスミに促した。
彼女は頷くと目を閉じた。
運営へ通信を飛ばしたのだろう。
数秒後……
彼女は目を開き、こう言った。
「救世主ユウタよ。世界が更新された」
つづく
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