第33話、其のメイド……回復役を勧誘する
深雪さんは、身長は私と同じくらいで、一見細身なんですが、筋肉はしっかりついています。
茶髪で黒い瞳。
今日は青のルームウェアで来ています。
「料金は結構です」
「な、なんで……」
「多分、あなたは勇者パーティーに合流するでしょうから」
「ま、まだ決まったわけじゃないですよ」
「ダメならダメでいいんです。
でも、あなたはそういう”人のために戦う”人なんでしょ。
ですから、料金は要りません」
「あっ……、ありがとうございます。
明日にはお返事させていただきますから」
「はい、では明日」
ルイージ様のお母さまである女神にいわれたこと。
『仲間に出会えばわかる』そんな感じです。
翌日、私は大五郎を連れて組合へ。そして深雪さんがやってきました。
「これが息子の大五郎です」
「深雪です。
大五郎君って勇者なんですね。
すぐ分かりました」
「それで、どうするか決まりましたか」
「ご一緒させていただきたいのですが、母が体調を崩しておりまして……
母は行ってきなさいって言うんですけど、やっぱり一人で残していくのは心配で……」
「それなら、丸子屋さんに相談してみましょうよ。
何か、うまい方法を考えてくれるかもしれないから」
「丸子屋さんって、あの……えっ、マルコさんて……」
「別に私のお店じゃないんですよ。
でも、困ったことがあったらいつでも相談してくれって、オーナーからいわれてますので」
「じゃあ、このルームウェアとか唐揚げとか……」
「ええ、私のアイデアを形にしてもらってますから」
「昨日売り出したタコ焼きもですか」
「この鎧の素材を集めている時に、タコがいっぱい獲れましたから」
「昨日、母さんに買っていったら、こんな美味しいもの食べたことがないって」
「あらあら、丸子屋さんにいけば、もっと美味しいものがあるでしょうに」
「私が朝早くから漁に出てしまうので、プリントとかクレープはいつも売り切れなんです。
総菜は買って帰るんですけど……」
「病気のお母さんに揚げ物はねえ」
「ええ、だからじゃが丸のバターのせが一番のお気に入りで……
あっ、昨日売り出したアジフライは美味しいって」
「じゃあ、今日は何か作って持って行ってもらいましょうね」
「母さん、喜びそう……」
その日の鎧作業を終えて、深雪さんと落ち合って丸子屋に帰ります。
番頭さんに事情を説明して、何かうまい方法はと相談したんです。
「やだなあ、定吉さんから聞いてませんか?」
「えっ、何をですか?」
「丸子屋は、もちろんマルコさんの商品販売を前提として作られたんですけど、本当のところは勇者様の支援が目的なんですよ」
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