第32話、其のメイド……深雪さんと出会う
さて、ジュラルミンもできたので冒険者組合に出かけます。
簡易鎧は、胴の右側に蝶番をつけて、左側はバックルで開閉するようになっています。
腕はノースリーブで、腰から下は網……というか鎖帷子になっていて一応お尻と股間まで覆う仕組みです。
そのため、サイズがあっていないと腕がうまく動かなかったり、ブカブカだと動きづらくなってしまいます。
ですから、一人ひとりチェックして仕上げていきます。
「では、そこに立ってください。背中からあわせていきますからね」
お腹の回りは多少余裕を持たせることで体をひねることができるようにします。
最後に尻周りを鎖状にして完成です。
この部分がちょっと大変です。
「どうですか?」
「胸のところを、もう少し余裕を持たせてください」
『
「これくらいでいかがでしょう」
「あっ、丁度いいです」
こんな感じで、一人30分くらいかかるんです。
一日15人で、最終的には70人に増えましたから、一週間かかってしまいます。
一人当たり金貨8枚。日本円で40万円相当。
総額2800万円……まあ、他の鎧でも30万円程度しますから、この程度は仕方ないんですけどね。
軽くて堅い鎧ですから、女性も多かったです。
「滞在中は、調整しますから、必要があれば組合を通して連絡くださいね」
「ありがとうございました」
スキルで作るから簡単なだけで、実際に金属加工で作ろうとしたら、とんでもない手間がかかるでしょうね。
「次の方が、回復系戦闘職の深雪さんです」
「あっ、はいお通ししてください」
「こんちわ」
「はじめまして、マルコと申します」
「深雪です。
よろしくおねがいします」
話しながら作業をすすめていきます。
「回復系をお持ちなのに、戦闘職なんですか」
「戦闘職といっても格闘系ですから、大したことありませんよ。
小さい時から生傷が絶えなかったので、自分で治しているうちに自然と回復系を覚えただけですから」
「回復系の呪文は、どこまで使えるんですか」
「ハイキュアとハイヒールは使えます」
「魔王討伐に興味ありますか」
「あはは、私なんかには無理ですよ」
「もちろん、魔王を倒すのは勇者なんですが、回復役としてどうかということです」
「……必要なことだと思いますよ。
お手伝いできることがあれば、力になりたいと思います」
「勇者パーティーに合流するつもりはありますか?
もちろん、候補としてですけど」
「……本気で言ってるんですか」
「冗談でこんな事はいいませんよ。
おそらく、あと2・3年のうちには勇者が育ちます。
多分、命がけの戦いになるんでしょうね。
そこに参戦できますか」
「少し、考えさせてください」
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