第491話 邪道か王道か
クーデリンと茜の実家への挨拶が終わり、順番的にはフロストの番ではあるが、フロストの母親の都合がまだ付かないようだ。
龍王に先に挨拶に行くという選択肢もあるけど、急ぐこともないという結論に俺とフロストは落ち着いていた。
龍王からはフロスト宛に色々と連絡がきてるようだけど、未来の孫に向けたプレゼントの相談は早すぎると思うんだ。
俺の成人までは待ってもらいたい所。
「こういう事になると昔からこうだってお母さんも言ってなぁ」
父親のそんな様子に呆れつつも、楽しそうに笑うフロスト。
「俺も子供が出来たらそうなるかもね」
「流石にあそこまではないんじゃない?まあ、でも子煩悩なシリウスは見てて楽しそうかも」
そうだろうか?
まあ、俺もしっかりと親になる経験はほぼないので先達から色々と学んで頑張るとしよう。
「それにしても、シリウスのシチューは相変わらず凄く美味しいね。甘さも絶妙でいくらでも食べれちゃいそう」
埋め合わせという訳ではないが、空いた時間で俺はフロストに手作りのシチューを振る舞っていた。
少し前に出したシチューをかなり気に入ってくれたようで、美味しそうに食べてくれるフロスト。
「お米もミスマッチなようで合うんだね。パンよりはこっちで食べてたいかも」
シチューとご飯。
人によっては禁忌とされそうな家庭向けの組み合わせだが、俺が何の気なしにやってたのを見て、試したフロストがかなり気に入ったようでカレーのようにご飯にシチューをかけて食べていた。
お高めなお店のシチューとかなら雰囲気に合わないだろうけど、家庭料理として考えるなら悪くない組み合わせだと個人的には思う。
まあ、美味しいと思える食べ方で美味しく食べるのが食材に対する敬意だよね。
「お代わりも沢山あるから、遠慮なく食べてよ」
「うん、ありがとう」
そう言いながら美味しそうに匙を運ぶフロスト。
こうして、自分の作った料理を美味しそうに食べてくれる瞬間を見れるのは料理を作れる人の特権だよね。
「シリウス、なんか嬉しそうだね」
「そう?」
「うん。可愛い顔してたよ」
……可愛い顔とは?
「フロストには負けるって」
「ふふ。私を可愛いなんて言うのはシリウスくらいだよ」
「事実だからね」
そう言うと、「そっかー」と嬉しそうにこちらに体を寄せてくるフロスト。
甘え方がストレートでそんな所も魅力的なのがフロストの凄いところだと思う。
友達から婚約者へと関係が変わったのだが、フロストとはずっとこんな感じなのかもしれないなぁと思いつつ、それが悪くないと思えるくらいには深く繋がりつつあるのだろうとしみじみ思うのであった。
きっと、互いの加護を持ってるからこそ、余計にそう思うのだろうが、何にしてもこういうやり取りをできる時間を存分に楽しむとしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます