第236話 補強と強化
「よし、じゃあ次かな」
子供たちがお腹いっぱいで満足そうなのを見てから、俺は建物の補強のために魔法を行使する。
流石に見た目から何から全て変えたら目立つので、外観に変化は付けずに、見えない中だけをガッチリとさせることにする。
すきま風や雨漏りを止めて、温かく寝やすい寝床を確保してから、他にも食材庫やら何やら色々と魔改造を施していく。
「土台はこんな所でいいかな」
五分ほどで、簡単な改造は終わった。
「相変わらず坊主は魔法が上手いな」
子供たちの倍以上食べてもケロリとしている虎太郎がその様子に苦笑するけど、アリシアや他のシスターさん達は俺の魔法に唖然としていた。
「アリシア、簡単だけどとりあえず補修したから、何か不足があったら遠慮なく言ってよ」
「空間魔法や、先程の治癒魔法といい……シリウス様は凄い魔法使い様なのですね」
「少し得意なだけだよ」
そう言いながら、布団代わりになりそうな毛皮なんかも取り出すけど、この時期なら必要ないかな?
まあ、念の為に用意はしておこう。
「あ、あの……ここまでして下さって恐縮なのですが、その……うちにはお金が……」
どんどん進む改造に一人のお手伝いのシスターさんがそんな事を言う。
他のシスターさんと、アリシアも申し訳なさそうな顔をするけど俺は気にせずに答える。
「ああ、大丈夫。魔法は俺の力でタダだし、用意してる食材もその他の生活のものも余っていたものだからさ」
実際、まだまだストックは沢山あるし、こういう時でないと使わないので折角だし使っておくに限るだろう。
そう平然と言ったからか、シスターさん達はポカーンとしていたが、アリシアはその言葉にまたしても小さく微笑んだ。
「本当に不思議な方ですね、シリウス様は」
「そう?」
「はい。ですが、このお礼は何れさせてください」
しっかりとした意思のあるそんな言葉に、俺は少し考えてからふと思いついたことを口にする。
「じゃあ、アリシアが欲しいかも」
「え……?わ、私……?」
「うん、アリシアみたいな面倒見の良いシスターさんにはそのうち俺の領地に来て欲しいかもしれない」
「領地……ですか?」
「まあ、それはその内でいいし、まずはこの子達の将来のために色々頑張らないとね」
そんな風に思わずでた言葉だったのだが、どうやらこの要求自体がかなり誤解を招きかねないものだったと俺は知る由もなかった。
とりあえず虎太郎の『また口説いてるよ』と言わんばかりの表情だけは見えていたが、断じて口説いてはいないのでそこは間違えないように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます