第165話 フローラと空中散歩

「わぁ……!空が青いです!」

「うん、晴れてるから景色も良いね。絶好の散歩日和だ」

「ふふ、空のお散歩なんて贅沢ですね」


ペガサスのクイーンに乗って、本日はフローラと空中散歩に出ていた。


景色を堪能出来るように、ゆっくりと飛んでいるクイーンは、久しぶりに俺たちを乗せたことでテンションが上がっているようでご機嫌だ。


聖獣であるペガサスのクイーンの視界を塞ぐような生き物はなく、空は至って静かで澄んでいた。


「クイーンちゃん、いつもありがとうね」


フローラのその言葉に上機嫌に答えるクイーン。


何だかんだと、フローラとのデートの時はクイーンに乗ることも多いし、俺も転移以外だと空の移動にはクイーンのお世話になることも多いので感謝してもしきれないな。


まあ、俺の場合他にも移動手段はあるのだが、何だかんだとクイーンは乗り心地が良いので頼ることも多い。


「フローラ、今日は見てみたい所ある?」

「シリウス様とならどこでも。私はシリウス様居られるならそれだけで満足です。それに、シリウス様と見る景色は全部素敵ですから」


そんな事を笑顔で言うフローラ。


どうしてこう、俺の婚約者達は皆本心で愛らしいことを言うのだろうか。


そんなにストレートに伝えられると益々好きになってしまうが、今更なのかもしれないと少し思ってしまう。


「皆さんには少し申し訳ないですけど……今だけは私がシリウス様を独占ですね」

「うん、俺もフローラを独占だ」

「それはいつもですよ」


そう言いつつも嬉しそうなフローラ。


それにしても、本当に良く笑ってくれるようになったものだ。


『厄集めの呪い』と足の障害……前者は週一の俺の治療(キスという名の俺得ご褒美)で軽減させるが、後者は俺でも治すのが難しい。


自由に歩けるようになって欲しいものだ……とにかく、この子には幸せになって欲しい。


そんな事を思っていると、そっと俺の頬に手を添えるフローラ。


何をするのかと思っていると、どこか恥ずかしそうにしながらも、軽くキスをしてくるフローラ。


短いながらもフローラからの積極的なアプローチに少し驚いていると、フローラは恥ずかしそうに俯きつつも呟く。


「最近、その……セリアさんに……もっと攻めてもいいって言われたので、チャンスを逃さないように、その……わ、私の気持ちを……」

「……うん、俺も同じ気持ちかも」


はにかむフローラの青い髪をそっと撫でるとその綺麗な空色の瞳を見つめてから、お返しをする。


雄大な景色の中で、そうして軽くイチャイチャするのもそれはそれで悪くないものだ……そんな事を思う今日の空中散歩であります。


にしても、本当にフローラの空色の瞳は綺麗だなぁ……フィリアのオッドアイも良いし、セシルの眼帯に隠れてる眼も眼帯という装備も良いのだが、澄んだ空の色をしたフローラの瞳は吸い込まれるようだ。


うむ、みんな違ってみんないいってやつかな。


個性は大切にね。














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