第64話 闇オークション
夜になり、俺とシャルティアは闇オークションが行われる会場へと足を運んでいた。
席に案内されると、番号の札を渡されてそれを上げて金額を提示するそうだ。
そうして、落札出来れば後でお金と引き換えに商品を貰う。
なるほど、オークションってこんな感じなのか。
怪しげな格好をしてる人が多いが、俺とシャルティアは変装はしておらず、幻惑効果のある指輪で誤魔化していた。
「シャルティア、時間まで膝枕いい?」
「私は構いませんが……フィリア様やセシルのように女の子らしく柔らかくはないですよ?」
「そう?俺は、シャルティアの綺麗で程よい弾力の膝好きだよ?」
フィリアやセシルとはまた違った、鍛えてる程よい筋肉とそれを輝かせるような女性らしさの残る弾力。
あと、いい匂いもするので、俺的には満足だったりする。
そんな俺をシャルティアはどこか恥ずかしそうにしながらも、許容するので、なお可愛いものだ。
『さあ、皆さまお待たせしました!只今よりオークションを開催したいと思います!』
シャルティアの膝枕で少しうとうとし始めてきた頃に、ようやくそんな司会者の声でオークションは始まった。
最初は少し珍しいくらいの、品が並ぶが進むに連れてどんどん違法なものになっていく……と、情報をくれた冒険者のベートは言ってたかな?
『さあ、ではでは最初はこちら!南の森でも珍しい果物、その名も『オレンジミント』です!』
早速、あの馬車にあったオレンジミントが出品される。
すると、早速他の参加者が値段を提示しはじめる。
その額は、オレンジミントという果物の珍しさを考慮してもかなりの額だが、俺の場合直接出向いた方が安く済みそうだと思ってしまう。
まあ、転移魔法ありきの話だし、それが無いと場所的にもこの位の値段はするのかもしれない。
『では、続いてはこちら!ミスリルゴーレムの魔石とミスリルゴーレム本体になります!なんと、高ランク冒険者が無傷で手に入れた魔石になっており、魔石はもちろん外のミスリルゴーレム本体にも傷ひとつありません!』
凄いな、無傷でって。
俺もやれない事はないが、無属性の透過の魔法で魔石を抜き取るか、転移魔法で魔石だけを移動させるくらいしか方法は思いつかない。
『そしてそして、お次はこちら!古代遺跡から発掘された『憎悪の盾』!非常に強力ですが持ち主に寄生して死ぬまで戦わせるといういわく付きな品でもあります!』
「憎悪の盾……」
シャルティアが、その盾を見て苦々しい顔をする。
「シャルティアとしては気に入らない?」
「……盾は大切な人を守るためのものですから」
まあ、騎士だもんね。
気持ちは分らなくない。
憎悪の盾なんて、呪われた武器だし、俺も興味はない。
そうして、徐々に違法な物が出始めてから……ついには、最悪なのも出てしまった。
『ではでは、次はこちらの品!なんと、珍しいことにエルフのハーフの子供になります!ストレス発散にもよし!奴隷としても長年使える優れものでございます!』
そんな紹介と共に、舞台の上には、ボロボロの衣服に鎖で繋がれた俺と同い年くらいの少女が連れてこられた。
耳が少しだけ特徴的な薄緑色の髪の少女だが、それがハーフエルフという種族なのは聞くまでもなく分かった。
その少女を見てシャルティアが思わず立ち上がりそうになるのをなんとか抑える。
気持ちは分かる。
何せ、全身に痛めつけられたような傷と、ろくに食事も与えられてないようなガリガリの体と虚ろな瞳。
正義感があるシャルティアじゃなくても、その姿を見て心を痛めるのは明白だ。
まあ、この会場ではその意見は少数派のようだが。
所々から聞こてくる、『ハーフエルフだと』、『まだ売れ残ってたのか』、『在庫処分だろ?本当に気持ち悪いな』という声が聞こえてくるのだから、流石闇オークションと言えるだろう。
誰かしら落札するかと思ったが、やはりというか誰も手は上げない。
なので、サクッと俺が落札しておく。
ハーフエルフの寿命を考えると、確かにメリットも大きいけど、普通の人間は長生きで見た目が変わりにくいと気味悪がるらしい。
落札するのは余程の変わり者……とも、聞いたが、俺はその変わり者なのだろうなぁとしみじみ思う。
ヘルメス義兄様達がミスらないとも限らないし、あの少女を早く助けなくてはという気持ちになったのだ。
その後も、何人か子供が商品として出されるが、その度にその扱いを見て胸糞悪くなってしまう。
まあ、最初のハーフエルフの少女以外は皆人間だったので、多少はマシな扱いだったが、見ていて気分のいい光景でなかったことは確実だろう。
ギリリと歯を食いばるシャルティアを宥めつつ、全て俺が落札する。
何人か競ってもきたが、もちろんお金に余裕はあるし、払う必要も無いかもしれないのでその辺は惜しまなかった。
ハーフエルフの女の子1人と、人間の成人男性1人に、女性3人、そして、子供が男女2人と、計7人となった。
もちろん、奴隷にするつもりも無いし、家族や故郷に帰すか、それが無かったら俺の領地で生活のサポートをしてあげないとな。
ただ、ハーフエルフの女の子は……俺が面倒見る方が良さそうかな?
何れにしても、後はヘルメス義兄様とレグルス兄様と相談してだな。
その後、最後の商品の競りが終わってから、俺とシャルティアを除く会場の全員をヘルメス義兄様が手配した騎士たちが捕らえたので、ひとまずは安心かな?と思いながら、商品の用意してある裏へと向かうのだった。
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