第27話 騎士と魔法少女
準備があると、アインとクレイの2人が出て行ってから少しして、俺も街を歩くことにする。
のだが……
「2人とも、準備はいいの?」
何故か一緒に着いてきた、女騎士シャルティアと眼帯魔法少女セシル。
「……大丈夫。アインとクレイが準備するから。それに、今回は必要なさそうだし」
「こら、セシル。領主様に向かってその口の聞き方は……」
「んー、別にいいよ。公の場じゃなければ」
確かにケジメは必要だけど、別に無礼という程でもないしね。
「……そう、シャルティアは固すぎ。そんなんだから行き遅れる」
「う、うるさい!私はただ1人の主を探してるんだ!」
「……だから、もうすぐ30に」
「言うな!それにまだ4年は残ってる!」
……つまり、26歳くらいなのかな?
俺としては、行き遅れてるって程でもないような気がするが……この世界での結婚年齢では遅いかもしれないな。
「……領主様、何歳?」
「俺?8歳だけど……」
「……親子の年齢差」
「やかましい!」
なんとも、面白い2人だ。
「そういえば、シャルティアの盾カッコイイね。もしかして、アルビノの飛龍の鱗で作った盾?」
「えっと、そうです。よく分かりましたね」
「なんとなくね。でも、シャルティアって凄いね。その盾結構な重量でしょ?」
「……ゴリラだから、大丈夫」
「誰がゴリラか!」
俺の身長の倍くらいの大盾なのだが、普通に背中に背負ってる上に機敏に動けてることから、大したものだと感心する。
「まあでも、シャルティアみたいな綺麗な女性に守られる人は幸せかもね」
「……領主様は守られたいの?」
「うーん、そうだね。普段の俺は隙だらけだから、守ってくれる人がいるのは嬉しいかも」
「……小さいのに、器が大きい」
ちっちゃくないよ!
「セシルは魔法使いなんだよね?」
「……うん、闇魔法しか使えないけど」
「十分だと思うよ?」
「……でも、闇魔法ってイメージ悪いから」
「何でも使えるものは使わないと」
「……それもそう」
結構ドライな感じもあるが、話してて楽しい娘だなぁと思った。
「その眼帯は怪我とか?」
「……まあね。見る?」
「えっと、見せてくれるなら」
「お、おい……!」
シャルティアが止める前に、セシルは俺に向かって眼帯を外してみせた。
その隠れていた左目は、酷い火傷があり、見ていてとても痛ましかった。
見えてないであろう、左目にそっと触れる。
「――!」
驚くようなセシルだが……治そうと思えばいけるか?
「セシル、必要なら治すけどどうする?……って、どうしたの?」
唖然としているセシル。
何をそんなにと思っていてら、震える声で呟いた。
「……ないの?」
「え?」
「……気持ち悪くないの?」
ああ、そういう意味か。
「俺は気にしないよ。それで、これが何か理由あるなら、残しておくし、特に無いなら治すけどどうする?」
「……治して欲しい。あの男の傷だから」
何でも、父親がセシルの左目を気持ち悪がってこうしてしまったらしい。
全く、酷い親も居るものだ。
そう思って早速、治す。
光の治癒魔法にて、酷い傷はたちまち完治し、やかで綺麗な金色の瞳が左目に宿る。
その眼を見て、俺は思わず呟いていた。
「……凄く綺麗だね」
「え……?」
「あ、ごめん。なんていうか、綺麗な金色でいいなと思ってね」
ポカーンとしていた、セシルだったが、その直後、無表情から一転してくすりと笑みを浮かべて言った。
「……変わったお方」
「それで、結局眼帯は止めないんだな」
「……癖だから」
目を治しても、セシルは眼帯を着けたままだ。
もう慣れてるというのと、あまり左目を見られたくないらしい。
まあ、その辺はデリケートだしそっとしておこう。
「そういえば、シャルティアはさっき主を探してるって言ってたよね?」
「……ええ」
「結婚相手って意味合いもあるんだよね?」
「当然です。私はきっとその方を見つけるために冒険者をしてるのですから」
「……ていう、夢を見た」
「夢物語ではない!」
調子の戻ったセシルの言葉にツッコム、シャルティア。
「大体、お前だって似たようなこと言ってただろうが!」
「……気のせい。シャルティアは耄碌が酷いだけ」
「嘘つけ!お前だって運命の相手――むぐっ!」
「……それはもう見つかったの」
なんとなく有無を言わせないセシルの言葉に不本意そうでも黙って頷くシャルティア。
「まあ、シャルティアなら、いい人見つかると思うよ」
「そ、そうですか?」
「うん、綺麗だし、騎士らしさと女性らしさがあっていいと思う」
「……領主様はお好み?」
「まあね。でも、俺みたいな子供じゃ主は無理だろうからね」
こういう感じの人に側で守って貰いたいが、向こうにも相手を選ぶ権利はあるし、そういうのは無理強いはしたくない。
「……年の差凄そう」
「やかましい!」
「まあ、俺は別に年齢は気にしないけどね。というか、好きなったら年齢なんて些細な問題だからね」
フィリアの事で俺はその辺を割り切ってるので、恐れるものは何も無いのだ。
「好きになったら関係ない……」
「シャルティア?」
「――はっ!いえいえ!何でもありません!」
なんだろ……まあ、いいか。
その後、やたらと俺を意識してるようなシャルティアとさっきより距離が近くなったようなセシルと共に冒険者ギルドへと戻るのだった。
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