第370話 みーてぃんぐ


 

 

 現役時代は日常的だったミーティングを、久しぶりに行ったカヨさん。

 といっても近所のカフェで、少し歳上の先輩とふたりきりで、ですが。


 心身の絶不調以来、意識から完全に消し去っていた過去の仕事のささやかな志を継がせてほしいとおっしゃってくださるので、ありがたいようなそうでもないような、むしろ困惑の比重が大きいような、複雑な気持ちで出かけたのでしたが……。


 先方のお考えをよくお聞きし、こちらの事情をつまびらかにお話し、双方でよく話し合った結果、せっかくのご厚意を素直にお受けすることに。ただ、カヨさんが二度と表舞台に立たずに済むよう、何度も念を押したことは言うまでもなく……。


 なかったことにしたい過去はカヨさんの内部だけの問題ではないことをいくつかの事例から教えられ、引き籠りから脱する時期到来を感じているカヨさんです。

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