第102話 ぞくすなどけい


 

 

 

 月一の心療内科の受診を終えたカヨさん、


 

 ――あら、そういえば、あの砂時計は?


 

 前月、コロナ対策用とかで、とつぜん先生の卓上に登場し、「あの、これ、気になって仕方ないんですけど」率直に申し上げましたが、今回はなかった? またはあるにはあったけど、先生がひっくり返さなかった? ことに思い当たりました。


 ね、だから、言わんこっちゃなかったでしょうに。

 あれほど心療内科に相応しくないものはないもの。


 律儀にも、きっちり3分で最後の一粒まで落ちきる砂時計に罪はありませんが、たった1か月で無用の長物化している事実に、すっと溜飲を下げたカヨさんです。

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