第90話 しこう
直木賞作家の馳星周さんがNHKのニュースで、新宿を舞台にした血なまぐさい抗争劇(カヨさんは読んだことがないので、どういう作品か見当もつきませんが)から、一匹の犬に救われた人間のオムニバスに方向転換した理由を語っておられ、
――なんか、わかるような気がする。
読後感のよくない、いわゆる“イヤミス”が大の苦手なカヨさんは共感しました。
昨今は、怒鳴り合ってばかりいる刑事ドラマを観るのが苦痛になり、ヒューマンで温かくて心を揺すぶられる『アンサングシンデレラ』(終わってしまって残念。ちなみに最終回は蛇足? と思いましたが (^_^;) )のような作品を求めています。
たしか宮部みゆきさんだったと思いますが、
――辛い事件が頻々と起こる現実があるのに、そのうえ自分の創作でさらに事件を増産していいのだろうかと怖くなり、江戸の人情物に軸足を移すようになった。
という意味のことを語っておられたことを、あらためて思い出します。
ましてや、コロナでみんなが打ちのめされている現代社会では文芸作品に求めるもの、読者の嗜好が変わって来ているのでは?……ともカヨさんは思っています。
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