第42話 きいろ





 

 カヨさんが加齢を実感するのは、シーズン初めに昨年の服を着てみたとき。


 ――そんなはずはない、去年まであんなに似合っていたんだから。


 無理やり思い直し、半ば意地と根性で着つづけてはみるものの、


 ――やっぱり全然似合っていない。そこだけへんに浮いて見える。


 鏡を見るたび違和感を突きつけられ、結局、泣く泣くお蔵入りさせることに。


 最近では鮮やかな黄色のチノパンがそれ。


 コロナ感染と熱中症、症状の酷似した二本仕立てで攻め立てられるこの晩夏。


 かれこれ10年も活躍してくれた愛着のパンツに訣別を決意したカヨさんです。

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