(二)-11

「そうでしょうね。あれが騙しとられた作品であれば、なおさらですね」

 そういうと、男性は「失礼」と言って、奥の事務所スペースへと入ってしまった。

 少し不安になった。もしかしてそのまま逃げられてしまうのか、それとも私が捕まって乱暴されてしまうのか。

 五分ほどで男性は戻ってきた。そして「西原七音さんですか?」と聞いてきた。

 私は少し驚いた。なぜ私の名前を知っているのか。ともかく、短く「ええ」とだけ答えた。

「宮前先生から聞いていますよ」


(続く)

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