第5話 始まりは突然に5
人間は自分の理解の容量を超えると思考が止まるというのは、本当のことなのだと、今身に染みて感じている。
「なんだ?何が起こった?この僅かな時間であまりにも多くの事がおこったぞ?まずは落ち着いて、一つずつ考えていこうそうすればきっと大丈夫、落ち着けクールにクレバーに冷静に深呼吸だ」
同時に色々ありすぎて、自分を落ち着かせようと口早に言葉を吐く事である程度の冷静さを取り戻した所で自分の身に起こったことを一つずつ理解しようと思考を始めた。
(ふぅ……とりあえずまずは、水晶玉が、触れた瞬間に砕けて何かが俺の体の中に取り込まれたんだよな、そしてその後すぐにまたあの声が聞こえてきた、あの喋り方からすると、俺一人に対して喋っていたと思われるが確証は無い、そしてあの声の主の言うことが正しければ、俺は地球初のダンジョン攻略者になり、ひいてはG-SHOPとやらが解禁されたという事だよな?)
自身に起こったことを思い出していく事で、色々な疑問も湧いてきた、台座や部屋の中をぼんやりと眺めつつ、自分の考えや推測を頭の中でまとめていく。
(ダンジョン攻略者というからには、ダンジョンを攻略したという事なのだろうが、状況から推測するとこの洞窟がダンジョンだったという事なんだろう、そしてあの水晶玉がゲームやアニメでいう、ダンジョンのコアのような物だったんだろうな、この真っ白な部屋にある水晶玉に触れるという事がダンジョンを攻略するという事なのか?)
確証は無いが状況から判断し推測していく。
(当たらずとも遠からずって感じだとは思うが、これ以上考えても答えはでないだろうなぁ……そして一番気になるのがG-SHOPか、これが一番意味が分からない、解禁されたと言っていたがダンジョン攻略者の特権とも言っていた、察するにダンジョンを攻略して初めて、使えるのだろうがそもそも使い方も分からないしどこにあるのかも分からないが、恐らくだが……ステータス)
児玉 拓美 LV1
スキル 怠惰
加護 娯楽神の加護
G-SHOP
おもむろにステータス画面を開くとそこには、今まで存在していなかった、G-SHOPという項目が増えていた。
(あるなG-SHOP、やはりここに表示されるのか、とりあえず開いてみるかG-SHOP)
ステータス画面のG-SHOPに視線を合わせ、心の中でG-SHOPと唱える、するとG-SHOPの画面がステータス画面に開かれた。
G-SHOP
残SP0
スキル
加護
ダンジョン
(残SP0これは恐らく、このG-SHOPで使用する通貨のようなものだと思うが、今の所0だな、このSPの入手方法には一つだけ心当たりがあるな、そしてスキル、加護、ダンジョンか……これは、この項目を選択すればその分類のものが表示されるのか……)
スキル、加護、ダンジョンと項目を視線を合わせ選択するとそれに応じた項目が開かれた。
(開かれたと思ったが、スキルと加護には何も表示されていないが、ダンジョンの所だけ、項目があらわれているな)
ダンジョン
・ダンジョンコアをSPに変換 消費0SP 付与1000SP
・ダンジョン作成 消費0SP ダンジョンコア1 付与ダンジョン管理権限
(あの水晶玉はダンジョンコアで間違いないようだな、ゲームとか、アニメとか見てて良かったぁ、こんな所でこんな知識が生かされるとはな、さてダンジョンコアを1000SPに変換するか、コアを使ってダンジョンの管理権限を得られるということか……こんなの一択だよなぁ!?)
ダンジョン
管理するダンジョンを選択してください。
ダンジョン作成を選択すると、管理するダンジョンを選択してくださいと表示され、拠点化するときに見た航空写真のようなものが写しだされているだけだった。
(これは、ここしか選択できないという事なんだろうが、ここが選ばれた条件はなんだ?攻略したダンジョンだけなのか、それともこのダンジョンだけしか知らないからか、まぁいいや自分の土地の山にある洞窟だし丁度いい)
ダンジョンを選択すると、台座の上に再びダンジョンコアが突如出現した。
「おぉ、いきなり復活ダンジョンコア君、そんでこれどうしたらいいのかな?」
『まずは、私にもう一度触れてください』
「っ!」
何気なくダンジョンコアに語り掛けると少年か少女のような高い声で返事が返ってきた、驚きすぎて声にならない声をあげてしまう、戸惑い固まっているともう一度ダンジョンコアが声を掛けてくる。
『まずは、私にもう一度触れてください』
「ダンジョンコア君ですか?」
『はい、マスターに声を掛けて頂けたので返事をお返し致しました』
「ちなみに、名前とか性別とかあればおしえてくれる?」
多少驚きはしたが、ゲームなんかでは、良くあることだと思い直し冷静になる、まずはコミュニケーションは大事だと思い、名前と性別を聞いてみた。
『名前も性別もありません、自我を持ったのも先ほどマスターに呼びかけて頂いた時ですので、マスターがお決めになられると良いかと思います』
「性別も?」
『はい』
気になる事や聞きたいことは沢山あるが、ひとまず名前と性別を決めてからでもいいかと思い直す。
「名前の前に性別だけど、まぁ、俺も男だし?やっぱり女の子がいいよなぁ」
『では、以降私は性別は女でよろしいですか?』
「うん」
ひとまずは男の欲望、願望を優先しダンジョンコアの性別を決め、名前を考える事にした。
(名前かぁ、コア子?そのまま過ぎるか…折角女の子なんだし可愛いのがいいよなぁ、怠惰の悪魔は確かベルフェゴールだよな、娯楽神って名前あんのかな?)
「うぅむ、自分にセンスが無いのが悔やまれるな」
『私はどのような名前でも構いませんよ?本当に』
「うっ」
なんだか自我を持ったばかりで性別も先ほど決定した割には圧を感じる返答に多少たじろいだ、女は生まれてきた時から女なのだなと名前を真剣に考える。
「良し、決めた!悪いが俺にはあまりセンスが無いから、シンプルで呼びやすいのにしたよ、今から君の名前は《ベル》だ、改めてよろしく」
『はい、今より私はダンジョンコアの《ベル》これから末永くよろしくお願い致しますマスター』
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