機械仕掛けの滅びの美学

作者 丹寧

悠久の時を刻む機構の一部と成るより、ただひと時の、ただの一人の心を抱く

  • ★★★ Excellent!!!

「時計に動力を吹き込む」という能力を生まれ持ち、ゆえに国の威信を保つための道具として幽閉同然の生活を強いられる『琥珀姫(ヤンター)』。
彼女はある時、自分の侍医となった青年に惹かれていることに気付いて……

丁寧に作り込まれた世界観が、この物語にたった1万字とは思えない深みと奥行きを与えています。
しかし何より心を揺さぶるのは、淡々と綴られる情景から浮かび上がってくる、ヤンターの情緒です。

生まれついての宿命に縛られたヤンターは、何を選んだのか。
与えられた役割よりも、自らの命よりも、何を守りたかったのか。
哀しくも美しい物語でした。

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その他のおすすめレビュー

★★★ Excellent!!!

中世に近い欧風都市が舞台のファンタジー短編。冒頭の童話のような語り口から、するすると物語の世界に引き込まれていく。
美しい文章の中で錯綜する人それぞれの思惑。最終話を読んだ時、琥珀姫にとっての恋心の… 続きを読む

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