機械仕掛けの滅びの美学

作者 丹寧

全四話に美が凝縮された珠玉の短編

  • ★★★ Excellent!!!

ずっと歯車の音が聞こえてくるからこそ、逆に静けさを感じる世界と、蒸気機関の登場によって傾いていく国の翳りで、どこか閑寂とした雰囲気が醸し出されている作品です。

主人公である琥珀姫ことヤンターは、そんな斜陽の国の王女。外出を許されない籠の鳥でありながら、将来を冷静に見据える彼女の凛々しくも儚い姿が美しく、だからこそ、後半の痛ましさや切なさに胸を打たれます。オルゴールの奏でる音色がだんだんゆっくりになっていき、最後には曲の途中で止まってしまった時のような物寂しさ、物悲しさを深く感じる作品でした。

また、タイトルにもあるように「滅びの美学」という言葉がふさわしい作品なのですが、ちらりと見える魅力的な機械の動きの描写にも注目してほしいです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

その他のおすすめレビュー

★★★ Excellent!!!

王都の天文時計が止まり、二つの針が重なったままの数時間。
その時計を動かしたオタカル王子も、彼と同じ能力を持つ琥珀姫も、「勤しむべき務め」のために生きています。
そして、広い世界を知らぬまま儚い生を… 続きを読む

葉霜深海さんの他のおすすめレビュー 56