第53話 現実:技術-兵器 「テクニカル」と「トヨタ戦争」・「怒りのアフガンより愛をこめて」 - 民生品:オートボット -

★テクニカル(Technical):オートボット

テクニカル「私は結果だよ…だから知る! 自ら育てた闇に喰われて、人は滅ぶとな! 」


 テクニカルとは、武器輸出規制に抵触しない一般販売されている民間車両、民生用ピックアップトラックのような小型自動車などの車体ないし荷台にスキー・スノー・サーフボードキャリアやルーフボックス・ラック感覚で重火器など銃砲・銃架を据え付け・搭載するなど、車上戦闘を可能にした改造を行った簡易な即製戦闘車両の事。

機関銃やロケット砲、迫撃砲、無反動砲、対空機関砲なども載せている。


 なお、同様に車内にはフィッシングキャリアやロッドホルダー感覚で自動小銃等や小型ロケット砲を搭載し、ドリンクホルダー感覚でラックを設置し手投げ弾を積み込んでいるもよう。


 ただし、非装甲車両に武装を装備した車両であっても、それがジープやUAZ-469などのように元々軍用として設計された車両の場合はテクニカルとは呼ばれない。

ゲリラ御用達として活躍したのがこれらテクニカルと呼ばれる車両でした。


・テクニカル(Technical)の他

・バトルワゴン(battlewagons)

・ガンワゴン(gunwagons)

・ガンシップ(gunships)

・ジャングート

などの名称でも知られる。


 利点として、民生車両は安価な上に燃費も良く、特別な訓練をしなくても普通免許を取得する程度の技能があれば運転でき、バッテリーは対空銃座を動かす程度の出力を十分に確保できる。


 また車両に搭載された武器は、小口径のものであれば十分に反動が抑制され、射撃精度が高まる。

「当たらなければどうということはない」


 このように被弾を前提としなければ、テクニカルの性能自体は優れているのだ。


 とは言えガントラックなどと同様、急造兵器の類であり、途上国の軍隊や武装集団が運用しているが、民間の軽車両(特にピックアップトラック)の荷台に、重機関銃や無反動砲などの重火器を搭載した火力支援車両である為、正規の軍用車両に比べて運用制限が大きく正規戦には向いていない。


 しかし、貧しい紛争地域では貴重な火力支援車両であり、民兵同士の紛争では趨勢を決める存在になることすらある。


 正式な戦闘車輌に比べればとにかく安価であり、兵站基盤の貧弱な途上国軍や民兵組織によく見られ、機械化歩兵部隊の装備として運用する場合が多いが、自走砲・戦車駆逐車として用いる事もある。

歩兵砲程度までの火器なら基本的になんでも搭載される可能性があり火力は決して侮れない。


 反面一般に装甲は無く乗員は攻撃に脆弱であり、戦闘時の生存性・耐久性は劣悪を極めるため、攻撃目標となる敵の軽歩兵の持つ(携帯)火器よりも有効射程で優越する重火器を搭載し、長距離から一方的に射撃するような使い方をする。

つまり、とにかくアウトレンジ・ヒットアンドアウェイが徹底されるのだ。


 先進国でも、治安維持やパトロールを任務とする部隊でテクニカルを使用する事があるが、一般にそのような任務には生存性が高いMRAPのような装甲車が用意されるため、基本、補助的な使用にとどまっている。




▼由来:ソマリア発祥 -技術支援助成金-

 テクニカルの歴史はその性質上はっきりしないが、少なくとも第二次世界大戦時にイギリス軍が運用していたとされる。


 この種の武装車両を「テクニカル」と呼ぶ語源はソマリアを発祥とする。


 先進国から途上国への技術支援のために訪れた非政府組織NGOが、治安の安定しない現地での安全確保のために傭兵・民間警備会社を雇い

警護要員を連れていくことを拒否された為、人員保護のため「技術支援助成金(technical assistance grants)」を転用して、現地のソマリアにて武装した現地人(ぶっちゃけ、その地域の民兵)をガードマンとしてを雇ったのが発祥と言われている。

転じて、それらが武装した人々を乗せる車両の呼び名となった。


 これは結果的に先進国民の税金から支出される助成金は傭兵が使うための戦闘車両と武装に化ける、という一種の皮肉である。




▼概要:「世界最強の殺人マシーン」

 民間の軽車両(特にピックアップトラック)の荷台に、重機関銃や無反動砲などの重火器を搭載した火力支援車両。


 ガントラックなどと同様、急造兵器の類であり、発展途上国や新興国あるいは戦後復興中の国家の軍隊、あるいはゲリラや民兵といった非政府武装勢力によって運用され、ワゴン車やトラックなど、中型程度の車両が特に好まれる。


 なお、そのような目的で運用される民生用の改造車両自体を指すのだが、基本的にジープやUAZ-469など非装甲車両に武装を装備した車両であっても元々軍用として設計されたこれらの車両の場合はテクニカルとは呼ばれない。


 また、テクニカルを先進国の正規軍が運用することは少ない。

そもそも正規軍が運用する軍用に制式採用されたハンヴィーや、装甲戦闘車両(AFV)、軽装甲機動車、装輪装甲車(wheeled armored vehicle)、軽装輪装甲車(VBL装甲車)とは異なり、一般にテクニカルの車体は本来戦闘向きでない民間車両を流用・改造しているので、此れ等に比べそのような装甲は無く防護機能が備わっていない為、攻撃に対して遥かに脆弱で運用にも難があるからだ。


 つまり車体に、操縦士の周囲や走行系であるエンジンや燃料タンク・タイヤなどに、被弾や爆発に耐える装甲化が施されていないのだが、それは荷台で火器を操作する民兵・非正規兵もほぼ同様であり、その生身の体が露出している事が多い。

ある種の戦車跨乗タンクデサントと言える。


 なんら保護されない生身の兵士であるから、攻撃に脆弱で、砲撃や銃撃により容易に死傷する。

しかも、最も目立つ上に隠れる場所の無い車体の上に乗っているため、簡単に狙い撃たれてしまう。


 そもそも人が乗る事を前提としていない荷台でしがみつくので疲労が大きく、ともすれば振り落とされてしまう。

車の方も急激な機動や旋回を行うと兵が転落しかねないので動きに制約を受ける。


 故に正規の軍用車両に比べて運用制限が大きく、正規戦では劣るのだ。

ある種、自走砲に近い火力支援車両として運用されることが望ましいと言える。


 テクニカルにはこのような脆弱さがあるため、攻撃目標となる敵の軽歩兵の持つ(携帯)火器よりも有効射程で優越する重火器を搭載することで、遠距離から一方的に攻撃する運用法が好まれる。


 とはいえ紛争地帯では火力支援車両が貴重であるため市街戦や陣地攻撃に駆り出されることも多く、近接戦闘に巻き込まれて撃破されるテクニカルは珍しくない。


 しかし、貧しい紛争地域では強力な火力支援車両であり、また自動車の性能向上で信頼性やペイロードが向上しており、極めて安価に製造できることから多用され、紛争では趨勢を決める存在になることすらある。


 また、紛争地帯では一般に整備体制が貧弱なため、信頼性や部品の入手性が重視される傾向がある。


 一般に民生品として販売されている物の中古車などを入手して現地改造のうえ使用されるが、中国の自動車メーカーの中には初めからテクニカル用途向けに販売しているメーカーがあり、一定のシェアを確保しつつある。


 だが小型のものは、信頼性の高い日本製ないし日本メーカー製ピックアップトラックが人気があり、大型のものはアメリカ製がよく使われる。




▼構造:チューン…チューンナップ、よろしく俺に チューンナップ

 武装は基本的に荷台にただ乗っているだけであり、これまた武装の操作員は保護されてないことがほとんどである。

そのためどちらかと言えば機関砲など射程と火力がある物が積まれる傾向にある。

ただしこれらの装備は無理がおおく、発砲の際に車体との接続が壊れたり車体を焼いたりなどトラブルも多い。


・べース車:トヨタ車

 べースとなる車体は様々だが、一般的なのはピックアップトラックである。

車種も様々ではあるが特に頑丈な日本車は好まれており、トヨタ・ハイラックスやトヨタ・ランドクルーザー等のトヨタ車はその最たる例である。


 また、車体サイズが必要な場合は雑だが頑丈さとパワーだけが取り柄のアメ車のピックアップもよく使われている。


・武装:闇市ブラックマーケット

 積まれる武装は政府軍からかっぱらったり裏ルートで流れてた物であったりで、実に色々なものが積まれている。


 割と一般的な軽&重機関銃・ソ連製の対空機関砲・大型の無反動砲・自走多連装ロケット砲のロケット砲などから、変り種ではミサイルランチャー、ヘリコプター用のロケット弾ポッド、BMP-1の砲塔などまさにカオスの権化である。


 ピックアップトラックのような小型自動車の荷台に銃架を固定して、機関銃やロケット砲、迫撃砲、無反動砲、対空機関砲を載せているのだが、多くは12.7mmのM2ブローニング重機関銃や、23mmのZU-23-2などを搭載して歩兵支援用途に改造される。


 射撃をしないときは、荷台に兵員を載せて移動することがあり、簡素なIFVとしても運用される。


・防護機能:紙装甲

 ハンヴィーやVBL装甲車、軽装甲機動車のような軍用の装輪装甲車とは異なり、民間車を流用しているため、更なる現地改造でもしない限り防護機能は備わっていない。


 攻撃力を持つが被弾や爆発に耐える程の装甲は施さないのが一般的だからだ。


 荷台の銃座に座り火器を操作する銃手(民兵・非正規兵)の体は露出している事が多く、生身で身をさらして射撃する必要がある為、攻撃にたいして防護されているとは言えない。


 それは操縦士もほぼ同様であり、その為こちらにも、銃座にも鋼鉄製の防楯が付けられることもあるが、重量増加が機動性を損なう割に限定的な防御力しか期待できないため一般的とは言えない。


 また、走行系であるエンジンや燃料タンク、タイヤなども被弾や爆発に耐える装甲化が施されていない。


 これは基本的に良くて町工場、悪くて日曜大工レベルの施設と道具、さらにありあわせのもので改造されるため、耐久力は市販車そのままで装甲などは無いことが多いのだが、たまに重量を増してでも鉄板などで車を覆いつくし耐弾性を高めていることもあり、小銃弾を防護できるようにありあわせの鉄板を溶接して搭載した車両が多数目撃されている。


 当然ながら民生車両の積載量は限られているため、正面のみ、あるいはタイヤのみといった簡素なもので、本格的な防護というよりは乗員の士気向上を目的としていると思われる。


 だがそれでも貴重な火力であることには変わりはなく、時には戦局すら左右することもあり、現代では紛争や戦争があれば必ず見かける存在であり、AKともども現代の戦争を表す一つの要素と言えるかもしれない。


 これらは手作りである以上、これから先の戦争でも様々なテクニカルが出現することだろう。




★トヨタ戦争:「世界の武装ゲリラがトヨタを愛する理由」

兵士の異常な愛情 または仏は如何にして心配するのを止めて原爆を地下実験するようになったか


 戦場でハイラックスがあまりに目立ったために、この車にちなんだ通称で呼ばれている戦争まである。

80年代のチャド内戦は、政府軍と反政府軍の双方がトヨタ・ハイラックスの改造車を多用したことから「トヨタ戦争」と呼ばれた。


●ピックアップトラック(Pickup truck):「テロリストも認める高品質」

「また君か・・・。厄介な奴だよ、君は…! あってはならない存在だというのに…。  知れば誰もが望むだろう! 君の様になりたいと! 君の様でありたいと! 故に許されない……君と言う存在を!」


 ピックアップトラックは、トヨタ自動車が製造・販売する大型クロスカントリー車で、車体形状や使用形態により分類される自動車の形態のひとつである。

セダンやクーペと同様に車体前方にボンネットがあるが、キャビン以降に開放式の荷台を有する。



 日本の車検証の車体の形状欄は、

・キャビンと荷台が一体のもの(例・ファミリアピックアップ、パブリカピックアップ、サニートラック、マイティボーイ等)はピックアップと記載される。

・別体のものは特に(例・ハイラックス、プロシード等)はボンネットと記載され、後者はボンネットトラックの一種と見なされる。

特にハイラックスは発展途上国や紛争地で、共にテクニカル仕様として人気である。


 ピックアップトラックの汎用性の高さを示す使用法に軍事利用があげられる。


 発展途上国や独立武装勢力を中心に大量のピックアップトラックがほとんどそのままの形で、人員や物資の輸送に使用されている。


 さらには荷台に重機関銃や対戦車火器(無反動砲や対戦車ミサイル)を搭載して、車上射撃を可能にしたテクニカルと呼ばれる車両が広く使われており、紛争の趨勢を決める存在にすらなっている。


 紛争地でも交換部品がすぐ手に入るほど出回っている。

大型のピックアップトラックに長距離ロケット砲や対空砲を搭載したものすらある。


 チャド軍と反政府勢力の両者が、信頼性の高いトヨタ自動車ピックアップトラックを好んで戦場で使用すると、(主にランドクルーザー・ピックアップをテクニカルに改造したもの。)

その車両の荷台後部に大きく表示された「TOYOTA」のロゴタイプが報道によってたびたび放映され目立ったため、チャド紛争は「トヨタ戦争」と呼ばれるようになった。




▼チャド北部内戦(トヨタ戦争):チャドの霊圧が…消えた…?

ちなみにチャドの国名の由来は、アフリカ大陸中央部の湖のチャド湖にちなんでいる。


 トヨタ戦争(トヨタせんそう)は、チャド北部内戦の後期の戦闘のことである。

1987年の内戦は、『タイム』が「Toyota War(トヨタ戦争)」の通称で呼んだのだ。


 この内戦で、チャド政府軍はトヨタ自動車製のピックアップトラックに機関砲や対戦車ミサイルを搭載して運用し、反政府軍を支援していたリビア軍のT-54やT-55、T-62を撃破するなど大きな戦果を挙げた。


 コレに対し反政府側も、負けじとトヨタ・ハイラックスを兵員輸送車代わりに使用していた。


 敵を撃破し、華麗に走り去っていくピックアップトラックの後姿(テールゲート、あおり)に記された「TOYOTA」のロゴが、見る者の記憶に残り、「トヨタ戦争」と命名されるきっかけとなったのだ。

まさに、サイバトロン・デストロンのシンボルマークの如きである。


 また、学研の科学雑誌「UTAN」に安易に軍用に転用される民生品を紛争地帯へ輸出することを批判する記事が掲載され同時に各政党へのこの件に関するアンケートが行われたが、反響は全くなかった。


 なお、チャド軍が使用していたトヨタ車は、当時チャド政府を支援していたフランスが供給したものであるが、学研の科学雑誌「UTAN」はフランス政府に苦情を入れた形跡はまるで無い。



●歴史:

■植民地化

1884年〜1885年にかけて、

 ベルリン会議でフランスがリビアより西のアフリカの大半を獲得し、ドイツもチャド湖南岸からカメルーンという形で現在のチャドの一部を植民地とした。


1891年に、

 フランスは、カネム・ボルヌ王国の保護を口実にチャドへの侵入を開始した。


1894年に、

 ウバンギ・シャリ(1894年 - 1910年、現中央アフリカ共和国)をフランス領とした。


1910年、

 ついにフランスはチャドの併合を断行。併合ですよ併合! チラッチラッ


1913年頃までには、

 チャド全域の支配を確立。


1920年には、

 正式にフランス領赤道アフリカへ編入された。



- 第二次世界大戦ではシャルル・ド・ゴールの呼びかけに応じ、自由フランス政府を支持した。-



■自治独立

1957年に、

 自治が認められ、チャド進歩党の党首ガブリエル・リセットが最初の政府を組織した。


1958年には、

 自治政府が設立。共和国が宣言される。


1960年8月11日、

 自治政府の初代大統領チャド進歩党のフランソワ・トンバルバイ(キリスト教徒)が就任し、チャドは独裁者の下で完全独立を果たした。


 トンバルバイ大統領は、野党の結成禁止と反対派の粛清を行い、独裁体制を取った。


 トンバルバイ政権は、フランス統治時代と同様に南部への優遇を続けフランス依存の国家経営を続けた。


1975年4月13日、

 結果チャドで軍事クーデターが起きトンバルバイ大統領は暗殺され、投獄されていたフェリックス・マルーム将軍(軍ナンバー2)を議長とする最高軍事評議会が政権を掌握した。


1978年1月、

 ハブレ派は隣国リビア軍を手引きして、その援軍を受けて戦闘を激化させてチャド北部を制圧した(チャド・リビア紛争)。


 FROLINATから分離したもう1つの反政府勢力北部軍(FAN)指導者のイッセン・ハブレはリビアの支援を受けていた。


1978年8月、

 マルーム将軍は、ハブレを首相として政権内に取り込んだ。


1979年、

 しかし首都でマルーム派とハブレ派の衝突が起き、ナイジェリアなどの周辺諸国の調停により、マルームは辞任した。


1979年8月に、

 第3勢力チャド解放人民運動のロル・モハメド・シャワを大統領とする紛争当事者全員が参加した暫定連合政府の樹立が同意された。


 これによって、事実上、旧反政府組織「チャド民族解放戦線(FROLINAT)を母体とする北部派の政権が生まれた。(FROLINATはリビアのカダフィ大佐の支援を受けていた)


1979年9月、

 グクーニ(北部派:現在亡命中)が大統領に就任し、ハブレは陸軍相として政権に加わった。


 当初から政権内部ではグクーニ派とハブレ派との間に対立が生じていた。


1980年に入ると、

 ハブレ派とグクーニ派で戦闘が始まった。


 ハブレは南部民族と和解し、リビアのカダフィとの距離を置くようになった。


1981年11月に、

 リビア軍がチャドから撤退。

カダフィのライバルでハブレを擁護するモブツ・セセ・セコのザイールのパラシュート部隊を先陣とするインター・アフリカ軍がアフリカ統一機構(OAU)の平和維持軍としてチャドに派遣された。


1982年6月、

 ハブレが大統領に就任した。

ハブレ大統領は、反対派を残忍なやり方で粛清した。


 グクーニはOAUはハブレに加担してると批判し、リビアの後ろ盾を得て、ハブレ派と度々衝突した。


1983年、

 リビアの最高指導者カダフィがチャドのイッセン・ハブレ大統領を認めずにチャドの反政府暫定国民政府(GUNT)に軍事協力したことからチャド内戦は始まっている。


 リビア軍が侵入するとフランスとザイールが政府軍を支援して、リビア軍を押し戻した。


 リビアのこの行為はフランスの介入を招き、マンタ計画、エペルヴィア計画によってリビア軍の軍事行動は16度線の北部、人口の少ない砂漠地帯に限られるようになった。


1984年9月に、

 フランスとリビアの間で休戦と互いの撤退の合意がなされた。

フランスとザイールは1984年末までに撤退を終えたのに対して、リビアはチャド北部の占領を続けた。


1986年に入ると、

 チャドの重要拠点を失ったGUNTはカダフィに反旗を翻した。


 これを知ったハブレ大統領は、チャド北部を奪回し、リビアのチベスチ近辺で戦っているGUNT離脱者と合流するために、12月16日から軍を16度線を越えて進軍させた。


 政府軍は、3か月に渡ってゲリラ戦と正規戦を駆使して北部チャドを奪回した。



■トヨタ戦争(Toyota War)

1987年1月2日、

 北部チャド、リビアとの国境付近でチャド政府軍と反政府勢力とそれを支援するリビア軍の間で行われた。


 チャドとの合邦を目論んでいたリビアの指導者カダフィ大佐は、邪魔なフランス軍が1984年に撤退したこの期にチャドを併呑すべく、切り札の戦車師団をチャドに投入。


 この時点での両軍の戦力差はチャドにとって絶望的だった。

侵攻するリビア軍の兵力は300両のソ連製戦車と60機の戦闘機、そしてソ連製のミル24戦闘ヘリを保有する精鋭8000人。


 一方チャド軍にはまともな戦車も戦闘機もなく、全軍をかき集めても辛うじて1万人を超える程度で、到底リビア軍の敵ではなかった。


 しかしチャド軍にはとっておきの切り札があった。

それがフランスから供与された400台のトヨタハイラックスであった。


 彼らはその荷台に重機関銃、或いはミラン対戦車ミサイル、更に106ミリ無反動砲を搭載し、対空・対戦車部隊を編成、迫り来るリビア機甲師団を迎え撃つことにした。


 その結果は、従来の軍事常識を超えたものだった。


1987年9月、

 停戦条約に合意するまでの間リビア軍と戦闘を続け、大きな被害を与えた。

リビアは多くの損害を出し、7500人が死亡およそ15億ドルの兵器を損失した。


 トヨタのハイラックスが圧倒的な戦車部隊を打ち破ったこの戦いはたちまちのうちに全世界の評判となり、トラックの荷台にプリントされたTOYOTAの文字の強烈な印象から誰ともなくこの戦いをトヨタ戦争と呼ぶようになりました。


 こうしてトヨタ戦争によって、チャドはリビア勢力の排除に成功した。

なお、停戦条約ではアオゾウ地帯の帰属について話し合われることとなった。


 こうして現在に至るまで、ハイラックスは強大な戦力を有する正規軍に対抗する為の秘密兵器として世界のゲリラ・武装勢力の御用達の座を確かなものにしたのだった。



1994年、

 国際司法裁判所はこの地域をチャド領と正式に裁定した。


 なお、チャドは1965年から1989年にかけて内戦を経験していたが、その後も情勢は不安定であり、結局2005年から2010年にかけてもまた内戦が発生した。

きっとこれからもまた度々内戦は繰り返されることでしょう。


 未開の地にはちゃんとした検地・刀狩・惣無事令こそが必要なのではなかろうか?

なおアメリカ



●ランドクルーザー:「◯ンタム・ジープ」

トヨタWeb広告「ランクルなら辿り着ける世界がある。」

戦場のランクル「ぼくたちはどうしてこんなところへきてしまったんだろう」


 日本陸軍は四輪駆動車の悪路走破性自体には深い理解を示しており民間企業にも研究開発を活発に行わせていたが、大戦当時の日本は他の列強各国に比べ量産技術に劣った上、そもそも国内でモータリゼーションも進んでおらず、にもかかわらずその少ないリソースは陸軍と海軍とで分断され、かつ陸軍内部においても航空兵器等やトラックの生産が優先されていたため、軍事上の戦術的・戦略的影響を顕著に残すことはなかった。


 それ故、戦時中フィリピン戦線で1941年に鹵獲したバンタム製ジープ通称「バンタム・ジープ」をトヨタ自動車にリバースエンジニアリング(コピー)させ、設計・製作させた。

地球連邦軍が開発し、運用した最初期のモビルスーツ:ザニーだろうか?


 こうして日本陸軍・四式小型貨物車こと「トヨタAK10型」四輪駆動車が、トヨタによって少数が生産されたのだが、これは機構的にランクルとの直接のつながりはないが、これによりトヨタの技術者が得られた経験値は大きく、その開発の際にも大いに役立ったとされている。


 ランドクルーザーは、「ジープ」という名称が米国ウィリス・オーバーランド社(当時)の商標権に抵触するため、ランドクルーザーと改名されたものである。


  ジープ以外のクロスカントリー車として国際市場で頭角を現していた英国ローバー社の「ランドローバー」に対抗し、ROVER(海賊、海賊船)を駆逐するという意気込みを込め、「巡洋艦」になぞらえた命名であった。



●トヨタ・ハイエース:

ハイエーサー「それだけの業を重ねてきたのは誰だ! 君とてその1つだろうが」

ハイエース「僕…、僕は… ... それでも、守りたい世界があるんだぁぁぁ!!」


 耐久性が非常に優れているため中古車としての下取り価格が高く、新興国や開発途上国、テロリストなどにもトヨタ・ハイラックスと共に需要が多い。

故にそれに関連して自動車窃盗団による日本国内での窃盗と密輸出も後を絶たない。


 また拉致、及び強姦などの犯罪にハイエースがよく使われるため、そこから一部で「拉致・監禁」等を意味する隠語ネットスラングとして使われている。


 転じて「ハイエースする」という動詞(サ行変格活用)が生まれている。

ちなみにこの文脈での「拉致犯・誘拐犯」はそのままハイエーサーと呼称される。

閃光のハイエーサー!!


 鉄板で覆われた走る広大な密室・・・悪用されないことを願うばかりだ。

だが、この時に使うハイエースもまたハイエースされた盗難車が用いられることが多い。

「ハイエースされた」「ハイエース」で「ハイエースする」のである。



●トヨタ・ハイラックス:「なぜ反政府組織はトヨタ・ハイラックスが好き過ぎるのか」

ハイラックス「僕は…それでも、僕は…! 力だけが僕のすべてじゃない!」

民兵「それが誰に解る? 何が解る!? …解らぬさ! 誰にも!」


 ハイラックスは、高い耐久力を誇るワールドカーであり、ランドクルーザーと共に、国際連合機関やNGOが過酷な環境下での支援活動に使用している。


 日本では馴染みは少ないが、世界では高い信頼性が人気を集め、現在カローラの次に最も売れているトヨタ車である。


 脱硫装置の普及していない発展途上国でも硫黄の多く含まれる劣悪な燃料にも耐えられるよう、また砂漠の真ん中でエンジンが壊れても修理できるように、最新のコモンレール式ではなく旧型のメカポンプ式のエンジンもラインナップしている気の使いよう。


 道路事情の悪い海外の開発途上国や、国内でも業務用やクロスカントリーを楽しむユーザーには、丈夫でホイールストロークの大きい(タイヤが路面から浮きにくい)リジッドが歓迎されていたため、ハイラックスピックアップはこれ以降もリーフ+リジッドのまま残されることとなった。




▼怒りのアフガンより愛をこめて:「不死身」のハイラックス

愛の支援活動、使用済ハイラックスをアフガニスタンへ


●カエデの葉のタトゥー:アフガニスタンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)に参加するカナダ政府

 アフガニスタンでアメリカ軍と武装勢力の戦闘が激化し始めた頃、アメリカの対ゲリラ戦専門家デービッド・キルカランは、新しい模様のタトゥーを彫ったゲリラ兵がいることに気付いた。


 それは、イスラム原理主義組織タリバンを象徴するものでもなく、アフガニスタンを象徴するものですらない。

そのタトゥーは、カナダの軍人の間でよく見られるカナダ国旗のカエデの葉を描いたものだった。


 カナダの軍人でも無いのにと不思議に思って調べてみると、場違いなカエデの葉は世界中のゲリラ戦で極めて重要な役割を果たしているとある武器と関係があると判明したと言う。


 その武器とは、軽量で極めて頑丈なトヨタのピックアップトラック『ハイラックス』である。

 

 ハイラックスは特にアフガニスタンで絶大な評価を受けているため既に違法なコピー商品が大量に市場に出回ったが、それを入手した武装勢力は偽物に対し品質の面で大いに失望させられた。


 テロリストや傭兵、文明の発展途上国の市民が使用しているのは、ほとんどがハイラックスの非正規・コピー品なのである。


 しかしその後カナダ政府がトヨタハイラックスをアフガニスタンに寄付した為、本物のハイラックスが戦場に出回ってくると、その車体の後ろに小さなカナダ国旗が付いていた。


 そのハイラックスは非常に性能が良かったので、こうしてアフガニスタン全土でカナダ国旗が高品質のシンボルになった。

そして、そのうちにゲリラ兵たちがカエデの葉のタトゥーを入れ始めた。


 地元のユーザーも武装勢力でないことを示すために、カナダの国旗のシールをトラックに貼るようになった。

「ハイラックスのブランドイメージから、今ではカナダの国旗が高品質のシンボルになっている」

と、軍事関係者は話している。


 トヨタはこの様な使用は本意ではなく、『コントロール・アームズ』キャンペーンに寄せた声明の中で、「武器の売買に関する国際的な規制が欠如しているため、大量破壊兵器たる小型武器は容易に世界に拡散し、国防のためだけでなく、侵略者やテロリストなど、あらゆる犯罪者に使用されている。

お茶の間のテレビで犯罪者がハイラックスを手にしているのを見る時、どうやって彼らはこのトヨタ車を手にしたのだろうかと、カナダ政府に問い続けている」

と述べているとか、いないとか(答え:いない)。


 トヨタはハイラックスをあくまでもピックアップトラックとして設計したのであり、犯罪や紛争に使われている現状をしばしば憂いていた。


●アールカイダは怒れば怖い:ドリルクラッシャーはツッパリ野郎

・新米安全保障研究センターの研究員で元米陸軍特殊部隊員のアンドルー・エグザムは世界中の至る所で用いられていると、指摘する。

「トヨタハイラックスはどこにでもある、世界の武装ゲリラの間で広く用いられている小さな大量破壊兵器:自動小銃のAK47の車両版と言ってもいい。ハンビー(GMのハマーの軍用版)なんかは目じゃない、簡単に勝てる」

という。


・自動車のデザインを行うトヨタのアメリカ子会社キャルティ・デザイン・リサーチ(カリフォルニア州)のケビン・ハンター社長によれば、

ハイラックスは「レクリエーション用の車、つまり利用者が楽しむ道具として開発された。車高が高いので、オフロードでの使用にも適している」。


 ハイラックスは一貫して、フレームとボディーを別々に造る設計を採用し続けていると、ハンターは言う。

「最近はフレームとボディーが一体型の自動車が主流だが、それよりずっと壊れにくい......走行距離が30万キロや40万キロを超えても乗り続けている人もいる」


 しかし、なぜ特にハイラックスがゲリラに人気があるのかは分からないと、ハンターは言う。

ほかのメーカーのピックアップトラックの中にも、フレームとボディーを別々に造る設計のものはたくさんある。


 これをイラクとアフガニスタンの両方でハイラックスを使用しているゲリラと戦った経験を持つ元イギリス軍特殊部隊員(匿名希望)に言わせれば、「(ハイラックスが)愛用される理由は至って単純」だという。

「スピードが出せて、故障せず、荷台に重火器を載せられる頑丈な車両の価値は極めて大きい」


 中東の紛争地帯を見てきたエグザムによれば、既にゲリラの間で多く用いられているという事実がハイラックスの地位をさらに確かなものにしていると言う。

「みんなが使っているので、交換部品が手に入りやすく、どこの整備士も修理の仕方が分かっている」


 端的に言えば、戦車は運転も整備も専門知識が必要ですが、トヨタの車なら自動車の運転経験がある人なら誰でも操作でき、更に整備も戦車より容易なのです。

おまけにトヨタの車は滅多なことでは故障しませんので、これほど役に立つ兵器はそうはない!


 また、タリバンの最高指導者ムハマド・オマルはゼネラル・モーターズ(GM)のシボレー・サバーバンを、国際テロ組織アルカイダの最高指導者ウサマ・ビンラディンはトヨタ・ランドクルーザーを、それぞれ愛用していたとされる。

2001年のニューヨーク・タイムズ紙の記事によれば、アルカイダ幹部のほとんどはトヨタ・ハイラックスで移動していたらしい。


 なお、アルカイダは後部座席があるモデルを使っている。

このタイプであれば、後部座席に人間と物資をのせ、荷台に重火器を搭載できるからだ。

「今でもパキスタンでハイラックスを見れば、アルカイダが乗っていると疑う」

と、キルカランは言う。


 またキルカランによれば、カエデの葉のマークが付いたハイラックスの中には、タリバンの手に渡ったものもあるはずだという。


 タリバンがアフガニスタンを統治していた頃ハイラックスとランドクルーザーは(タリバンが人々を)脅して、言うことを聞かせるための理想的な装置だった。


・タリバンがハイラックスで辺りを走り回り、足首の肌を見せている女性がいれば飛び降りて殴り、ひげが短い男性がいれば、輸送用コンテナに閉じ込めて、所定の長さにひげが伸びるまで3週間監禁した。


・姦通を行った疑いや神を冒涜した疑いを掛けられた人物を車で引きずって、処刑場のサッカースタジアムまで連行することもあった。

と、この記事は書いている。


●世界に冠たる我らがトヨタ:「みんな大好き、メイドインジャパン!!」

 ハイラックスを愛用しているのは、アフガニスタンのゲリラだけではない。


 世界のゲリラ戦の歴史を写真で振り返ると、この車が紛争地帯でいかによく用いられているかがよく分かる。

最初に写真に登場するのは60年代後半。

新しいところでは、2000年のパキスタンの武装勢力がハイラックスに乗って銃を高く掲げている写真や、2004年のスーダンのゲリラが荷台で武器を掲げている写真がある。


 首都モガディシオでソマリアの海賊がハイラックスに乗って銃を振り回している写真もある。


 これはあくまでも一部の例にすぎない。

この他、ニカラグア、エチオピア、ルワンダ、リベリア、コンゴ民主共和国、レバノン、イエメン、イラク......

さまざまな紛争地帯で撮影された写真にハイラックスが写っている。

また一部地域ではアメリカの特殊部隊も、ハイラックスの大型(アメリカ)版であるトヨタ・タコマを使うようである。


ハイラックス「いろいろな男達が私の上を通り過ぎていったわ。何人になるんでしょうねぇ、私の上を通り過ぎて行った男達は数えきる事ができないわ」


 これほどまでにハイラックスが武装ゲリラに重宝されるのは、「戦闘力を何倍にも増やせる」からだと、英ウェールズ大学アベリストウィス校のアラステア・フィンラン研究員(戦略研究)は言う。

「スピードが出せるし、機動性も高い。(50口径の機関銃を荷台に設置すれば)破壊力も強い。兵士の防弾チョッキを軽く破壊し、軽装甲車両であれば車体も撃ち抜ける」。


 軽装備の特殊部隊にとっては極めて危険な武器だと、フィンランは指摘する。


 その性能を実証したのが、2003年にBBCテレビの番組『トップギア』で放映された耐久実験だ。

この番組では、走行距離30万キロ余りの1988年モデルの中古のハイラックスを購入。


 それを木に衝突させ、5時間にわたり海中に沈め、高さ3メートルから落下させ、キャンピングカーを上から落とし、プレハブ小屋に突っ込ませ、ビル破壊用の鉄球を打ち付け、火を放った。

その上で、ビルの屋上に載せて、そのビルを爆破破壊した。


 その後、瓦礫の中から掘り起こしたハイラックスは、部品交換なしでまた走り出した。

修理に要したのは、ハンマーとレンチ、さび止めスプレーだけだった。


 さすが世界のトヨタ、アフガニスタンからソマリアまで世界のゲリラの「武器」として愛用され続ける驚くべき耐久性!

ハイラックスは高い耐久力を誇るワールドカーであり、ランドクルーザーと共に、国際連合機関やNGOが過酷な環境下での支援活動に使用している。


 2015年(平成27年)にイスラム過激派組織「ISIS」(いわゆる「イスラミック・ステート」)が公開した宣伝ビデオに登場する自動車が、比較的年式の新しいトヨタ自動車の「ハイラックス」と「ランドクルーザー」であったことから、アメリカ合衆国連邦政府テロ対策局は米国トヨタに対し、自動車の入手経路等の説明を求めた。

『当社はアフガニスタンに販売店はありません』


 しかし実際には濡れ衣で、当のアメリカ国務省から自由シリア軍へ救援物資として贈られたハイラックス・ランドクルーザーが横流・略奪されてISの手に渡っていたことが後に判明している。

だがアメリカ合衆国連邦政府テロ対策局は米国トヨタに対し、自動車の流出経緯の釈明を行ってはいない。


 またトルコ・ヨルダン・イラクなど周辺国からの調達ルートも存在しているとされる。

同様のことは以前からあり、アフガニスタン紛争でもカナダ政府が中東支援のために提供したハイラックスがタリバン・ゲリラに渡っていたことがある。


 このように耐久性を有しながら民生品として販売されているため、中東・アフリカで武装勢力のテクニカルにされることが一般的になって

政府軍に対して欧米が提供した車両が鹵獲・流出するパターンも多い。


 この状態は初代ハイラックスが登場した頃から続いているため、部品の流通ルートが確立している上整備ノウハウも蓄積されており、中東の紛争が続く限りトヨタ車が武装勢力に愛用されるという事態も当面続くと見られる。


 このためドバイなどでは国連機関であっても防弾車として改造したハイラックスやランドクルーザーの国外搬出に制限をかけている。




●7代目(2004年-2015年):RX計画なのか?(笑

 トヨタIMVプロジェクトの「フレーム構造をベースとした単一プラットフォーム」を共有する世界戦略車(意味深)「IMVシリーズ」としてピックアップトラック・SUV・ミニバンが設定され、このピックアップトラック車種が7代目ハイラックスを襲名した。


「IMVシリーズ」はパワー(隠語)と低価格が重視される地域向けに、トラックを乗用としても使用する購買層(民兵)に対し従来のトラックに比べ乗用車風の高級感を持たせるつくりとし、さらにトヨタの安定した品質を提供することで販売増を狙うという、新興(紛争)国向け世界「戦略」車として生み出されている。


 世界中の多くの国で販売されるが、『武器輸出三原則』に代わる新たな政府方針『防衛装備移転三原則』のある日本や北米で製造されるハイラックスの北米仕様「タコマ」が販売される北米には導入されない……とかなんとか。

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