第3話 ストーリーは突然に

 異世界転生ものをプレゼントした日から、一日で読破した佐奈さん。読み終わってすぐに「面白かったよ!主人公が幽霊になって無双していく話は爽快だったよ!」と目をキラキラさせて言ってきたのを見て、プレゼントして良かったなと素直に思う。


 かなりお気に召したようで、最近は僕が定期的にプレゼントしている転生ものにハマっているようだ。「転生したらスライムだったようだ」や「Re:異世界転生から始める異世界ライフ」という作品が最近のマイブームらしい。


 こんな日が毎日続けばいいな、と淡くお気楽な事を考えながら過ごすこと半年が経ったある日、いつものように封鎖された第一図書室を清掃していたら裏側の本棚付近から本が雪崩のように落ちる音がした。

 凄い量の本が落ちたような感じだったので、俺は急いで裏手に回ると佐奈さんが両腕を床に付いて倒れていた。


 おっちょこちょいな佐奈さんが起こしたいつものやつだと思って、ゆっくりと近づいて見ると佐奈さんの横顔はいつもとは違っていた。

 あまりにも普段見せない顔だったので、自然と佐奈さんに声をかける。


 「だ、大丈夫ですか?佐奈さん?」


 何とも言えない表情でこちらを見つめる佐奈さんの顔はどこか悲しいような、悟ったようなものだった。


 「馬場君、今日は、もう帰ってもらっていいかな?」


 「な、なんでですか?」


 「お願い。何も聞かないで帰ってほしいの」


 それ以上、何も言うことが出来ずに俺は第一図書室を出て行った。



 

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秘匿恋愛 おむ @OmU777

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