54. 第一回魔王討伐総合会議

「○○□□年、五月二十日、今から第一回 魔王討伐総合会議を始める」


  エリーズ達はみな、先週無事二年生へと進級した。

  この世界では、入学式は大抵四月に執り行われるが、始業式などがあるのは五月。

  というわけで、二年生の始まりとともに、討伐計画の新たな章が幕を開けたのである。

 

  『魔王討伐総合会議』というのは、その名の通り、魔王討伐計画の集大成であり、今までレオンと各方面で連絡を取り合っていたのを、この会議でそれぞれが集結し、全体の情報を共有しあおうという目的のもと行われるものである。

  少し前にレオンが魔王城への行き方の魔法陣を見つけ出したことにより、計画は最終ステージへと移行したので、発足したのであった。


「司会・進行はこのレオン・カヴァリエが行います。皆様よろしくお願い致します」


  レオンが座っていた議長席から立ち上がり、頭を下げると、各方面から拍手がわいた。よくこんな緊張することできんな、レオン。


「えーと、それではまず、魔王城での戦い方から、説明致します」


  レオンが言うと、真っ黒い服装をした者達ーーおそらく執事だろうーーがホワイトボードを運んできた。

  ホワイトボードには、魔王城を模したものの地図が貼ってあり、レオンはホワイトボードの傍にいた執事からペンを受け取った。


「これは魔王城をかたどった地図でございます。古くから、ある家に伝わるもので、その真偽は定かではありません。ただ、今のところこれ以上参考になるような文献は未だ発見されておらず、そのためこれを使用させていただきます。ご理解いただけたら幸いです」


  よく噛まずに喋れるなぁと、感心しながら見ていると、レオンはその地図の一番手前を黒く囲んだ。この前言っていた、アンデッドの兵士と戦うべきところだろう。


  レオンはその調子で、最後までこの前と同じような説明を続けた。人々はみな、頷いたり渋い顔をしたりと反応は様々だ。

  隣に座っているアランはと言えば、エリーズが魔王と戦うと言われた時点で表情を曇らせていた。不謹慎だが、少し嬉しい。


「と、いうわけなんですが、どちら様かご意見のある方はいらっしゃいますか?」


  説明し終わった後、レオンが言ったが、誰も手を上げない。

  安心すると同時にやっぱりすごいなぁと思っていると、近くに挙げられた白っぽい手が見えた。


(あれは……)


「何か意見がございますか? ミシェル」


  指されたその金髪の少年は、挑戦的にレオンを見つめた。

 

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