36. 思わぬ進展
「催眠魔法っていうのは人を思い通りに動かしたり、記憶をなくしたりできる魔法だ。ただ、サラは相手の心を読んだり、数百人を一度に相手にできる。催眠魔法への適性が高いんだ。ただ、幼なじみのミシェルがいるときしか、この魔法は使えない」
「サラは人見知りなんだ。まぁでも僕がいれば魔法は使えるし、それに僕は魔法鑑定の魔法を使えるから、それなりに役に立つと思う」
催眠魔法について説明したレオンに続いて、ミシェルが言った。サラはといえば、まだミシェルの背中にはり付いている。
「魔法鑑定の魔法?」
これまた出てきた聞き慣れない言葉に、ミシェルは
「魔法をかけられたものが、どんな魔法が使われているのか、どんな人が魔法をかけたのかが分かる」
と説明した。え、それ結構凄くない?
と、そこまで聞いて、ふとあの手紙のことを思い出した。レオンに筆跡を見てもらわなければいけないのを、すっかり忘れていた。
もしレオンのお姉さんが手紙を書いているのだとすれば、あの手紙たちには、魔王討伐のためのヒントが隠されているかもしれない。
「そういえば、これ」
手に持っていた箱から、いくつかの手紙を取り出す。
この箱に入っている手紙は、悪役令嬢、転生、などのワードが入っていないもの、そして途中で途切れたもの、血に濡れたようなもの、あと今日届いたものだ。
レオンは出された手紙を見て、緊張した面持ちになった。そのままこわごわと、便箋から手紙を取り出す。レオンが取り出したのは、初めに手紙がきたときから一週間以内にきたものだった。
内容の奇特さに、レオンは眉をしかめた。
後ろから手紙を覗き込んでいたリルやミシェル、さらにその後から覗き込んでいるサラまでもが、怪訝そうな顔をする。
「確かにこれは姉さんの、字だ」
ゆっくりと、レオンが言った。どうやら、エリーズの仮説は合っていたらしい。
「それでね、これが今日届いたものなんだけど」
今朝届いた白紙の手紙をレオンに差し出す。すると、その様子を見ていたミシェルが手を出した。
「ごめん、それちょっと貸してくれないかな。魔法が使われてる気がする。魔王城からその手紙を送ったんだったら、魔王城の場所が分かるかもしれない」
思わぬ進展に、一瞬時が止まったように感じた。
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