第384話 行進中

今まさに俺のすぐ後ろのパーティが交戦している。

戦っている相手は見た目でグリフォンかと思ったのだが一回りは小さい様で、ミクによるとレッサーグリフォンと呼ばれるモンスターらしい。

それが3体上空から襲ってきている。

前回は殆ど彼らの戦いぶりを見る事は無かったが、男性4名が女性2名の前に立ち応戦して、女性2人は恐らく1名が補助魔法を使っている様に見える。もう1名は回復役だろうか直接戦闘に関わっている様には見えない。

実質、攻撃力を持つ戦力は4名なのだろう。

前回数に押し切られたのも若干攻撃の数が足りないのかもしれないが、そのうち1名は中衛で弓を使っている。

ボウガンではなく西洋風のエルフが使っている様なイメージの弓だ。

俺達のパーティには弓を使っているメンバーはいないので特に目を引くが、よく見ると矢が無い。

確かに弓の鉉の部分を引いて放つ動作を行なっているが、手元に矢らしき物は見当たらない。

完全にマジックアイテムだろう。空を飛ぶレッサーグリフォンに1番ダメージを与えているのはこの人の攻撃だ。

彼らが交戦している事でレッサーグリフォンの動きはかなり制限されているので俺達からは格好の的となっている。


「それじゃあ、みんないくよ!」


シルとルシェとスナッチは巻き込みが怖いので控えさせて残りの4人で一斉に斉射する。

俺は1番手前まで来ている個体を目掛けて『ドラグナー』を放つ。

青い閃光が走りレッサーグリフォンを捕らえた。

当たりどころの問題か消滅までは至らなかったが、ふらふらと墜落して交戦していたパーティの男性陣がすぐに止めをさした。

残りの2体も同様に手傷を負って墜落し、そのまま止めをさされて消失してしまった。

相手の攻撃を完全に受け持ってもらってから不意打ちの様な形だったので思った以上に簡単に倒す事が出来た。


「ありがとうございます!さすがですね。皆さん魔法を使えるんですね。いや〜すごいな〜」

「いや、こちらこそ余計な事だったかもしれないです」

「うちのパーティはどっちかというと近接を得意としてるんで助かりました。高木さんの武器カッコいいですね。そんな武器初めて見ましたよ。ドロップですか?」

「いや、そういう訳では……。あの、おいていかれない様に進みましょうか」


このパーティとはちょっと絡み辛い。馬鹿にした感じも悪意も無いのは分かるが、俺達に対して超補正が効き過ぎて変な感じに見られている気がして仕方が無い。

そもそも、さっきの戦闘で魔法を使ったのは2人で後は魔法銃での攻撃なのだが説明するとめんどくさそうなので黙っておこう。


「おいっ、今の見たか」

「ああ凄かったな。見た目があんなだから眉唾かと思ってたけど、噂は本当みたいだな」

「ああ、確かに偉ぶる所もないし腕も確かっぽいな」

「しかも、他の3人の女の子も全員攻撃に参加してたな」

「ああ、あの子達あの可愛さで反則級だな。『黒い彗星』の取り巻きなのかと思ったらそうじゃない様だ」

「しかも噂のサーバントは一切参加せずか。余裕だな」

「高火力の遠距離型チームか?」

「いや、噂によると『黒い彗星』は近接らしいぞ」

「まじかよ。さすが彗星」


なぜか一つ前を行くパーティから視線を強く感じる。

特に変な動きをしたつもりも無いが、もしかして横取りしたとでも思われたのだろうか?

やはりいくつものパーティでやっているのでいつもの様にはいかない。

他のパーティの迷惑にならない様に気をつけながらやる必要があるな。

あまり悪目立ちして目をつけられても嫌なので極力目立たない様に目的地まで早く辿り着けるといいな。

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