第332話 バルザードの力?

俺は今2階層に来ている。

昨日バルザードが進化したので検証しようと思い2階層に来ている。

あれからも何度かバルザードを振るってみて威力が増した事は間違い無いが、やはり振るうたびの違和感は無くならなかったので検証する為に2階層でゴブリン相手にいろいろ試してみたいと思ったのだ。


「ご主人様、前方にゴブリンです」


2階層はゴブリンが単体でしか現れないので、戦闘自体は俺だけでもそれ程問題にはならない。

前方に見えるゴブリンに向かって走り、棒で攻撃してきた所を避けて、そのままバルザードで斬って落とす。


「う〜ん、なんかおかしいんだよな〜」

「マイロードどうかされましたか?」

「バルザードを使った感じがちょっとおかしいんだ。いつも通りやってるんだけど、もっと力が入れられるような、全力じゃ無いような変な感じがするんだ」

「はっきりした事は言えませんが、私も幾つか魔剣を扱った事があるので申し上げますが、もしかしたらマイロードの魔剣はチャージ出来るのでは無いでしょうか」

「チャージって何?」

「攻撃を一旦溜めて放つ事で威力をアップさせる事が可能になるのです」

「それってどうやるんだ?」

「攻撃の前に溜めるんです」

「そう‥‥まあやってみるよ」


ベルリアは剣術の指南は結構分かり易いと思うのだが、今回のは正直良く分からないのでやってみるしか無い。

溜めると言っているので、試しに素振りで力を込めてやってみるが良く分からない。

2匹目のゴブリンを見つけて今度は斬撃を飛ばしてみる。

いつものように斬撃を飛ばす前に振りかぶって自分なりに溜める動作を実践してみた。

力を込めて溜める動作をおよそ3秒程行い思い切って振ってみた。

その瞬間、今まで感じていた微かな違和感は無くなり、進化前と同じ様な感覚で振り切れた。

そして飛ぶ斬撃はゴブリンを真っ二つにしたが明らかに威力が増している。

『愚者の一撃』の様に斬撃が唸りをあげるような事は無いが目に見えて威力が増している。


「すごいな。これがチャージか」


一度成功しただけなのでもっと色々試してみたい。

次のゴブリンには直接攻撃を仕掛けてみた。

試しに飛ぶ斬撃の時と同じように斬る前に溜めの動作をやってみようとしたが無理だった。

いくらゴブリンとはいえ、殺傷能力を持ったモンスターの前で溜める動作を3秒も行う事は、無防備に攻撃を誘っている事に等しく、1秒も持たずに諦めた。

まともに正面からは不可能な事に気がついたので、すぐにナイトブリンガーの能力を発動してから背後に回り、無防備な背中に向かって静かに溜める動作を行いバルザードを振るった。

先程と同じように違和感無く振る事が出来たが、ゴブリンへの攻撃は斬れ味が増したと言うよりも威力が増した感じでズバッと斬れた感覚だ。


「マイロード、やはりチャージ出来ているようですね。威力が違います」

「そうみたいだな。今までこんなのは出来なかったから進化してパワーアップしたみたいだな」


このチャージについては使い所とタイミングが難しいが、強力なモンスターへの対抗手段として有効だと思う。

その後も2階層で色々と検証してみたが、やはり魔核は最大10個吸収する事が出来るようだが使用回数は通常攻撃の場合バルザードの使用効果は15回が上限だった。

普段の戦闘で15回剣を振る事はまず無いので、ダンジョンの探索では十分な使用回数に到達したと言えるかもしれない。

ただチャージを使用すると最大6度の使用で効果が切れた。残念ながら無条件で出力がアップするなどと言う都合の良い話は無かったが、これは使い方次第だろう。

なぜか割り切れる5回では無く6回使用出来るのは理由が分からないがおまけ1回で得した気分だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る