第183話 冬のアイス

俺は今11階層に潜っている。

みんなとの相互理解も深まって、これからだとテンションがぐっと上がったが、残念ながら撤退することにした。

マントをカオリンに貸してしまったせいで、熱中症になりかけた為、周りに止められてしまった。

汗が止まらないのと、ちょっとフラフラする。

カオリンが心配して『アイスサークル』を時々発動してくれるのでとりあえずは問題なさそうだが、念のために戻ることにした。

戻る道中もやっぱり暑いので体力を削られたが、なんとかゲートの位置まで戻ってくることができた。


「ようやくついたな。それじゃあみんなでシャワーを浴びようか。」


そう言って各自シャワーブースに向かおうとするがベルリアがぴったりとついてくる。


「ベルリアどうした?何か用があるのか?」


「マイロード約束したではありませんか。」


「ごめん。なんの約束だっけ。」


「ミイラの毒液が臭うのでシャワーをさせて頂ける約束でした。」


あっ。完全に忘れていた。その後のやりとりと熱中症で完全に忘れていた。


「ああ、もちろん覚えているよ。別々に入ると思ってたからな。」


「いえ、私はお金も識別票も持っていませんのでご一緒させてください。」


確かにサーバントが一人では、入れないな。


「わかった。じゃあ一緒に入るか。」


そのまま一緒にシャワーブースに向かおうとすると今度はシルとルシェもぴったりとついてきた。


「シル、ルシェ何か用か?」


「私もご一緒させてください。」


「ベルリアだけずるいぞ。わたしも一緒に入る。」


「いや、ちょっと待ってくれ。無理。俺は男だぞ!」


「それがどうかされましたか?」


「そんなの関係ないだろ。ベルリアだけずるい。」


「いやいや、大いに関係あるだろ。いくら小さいからって、女の子と一緒は無理。」


「ベルリアが良くて私達がダメと言うのは男女差別ではないですか?」


「そうだそうだ。ずるいぞ。」


「違います。俺が変態に見られない為に必要な措置です。却下します。」


「納得いきません。」


「一緒に入る。」


「無理なものは無理だ。俺は幼女趣味にみられたくない。申し訳ないけど、あいりさんとカオリン一緒に入ってもらっていいかな。」


「えっ。もちろんだ。大歓迎です。」


「ルシェ様一緒に入りましょう。」


「お前達は、あっちな。俺はベルリアと一緒に入るから終わったら外で待ち合わせな。」


「納得しかねますが仕方がありません。」


「えこひいきだ。今度一緒に入るぞ。」


「いや今度も絶対無理だけどな。」


そう言ってそれぞれシャワーブースに入った。


「ベルリア、お前小さいけど筋肉すごいな。」


「日々精進していますからね。いざという時の為に鍛錬あるのみです。そう言うマイロードもかなり鍛えられた肉体をされていますよ。」


「そうかな、大分筋肉とかついてきた感じはあるんだけどな。それにしても、やっぱりシャワー、最高だな。」


「はいこれは素晴らしいですね。臭いも取れますし、快適ですね。」


「また今度も一緒に入るか?」


「はい。頑張りますので是非お願いします。」


すっきりして外に出てからしばらくすると、他のメンバーも戻ってきた。


「シル、ルシェどうだった?」


「素晴らしく気持ちが良かったです。」


「最高だな。次から必ず入るからお金出してくれよな。」


「わかったよ。あいりさんとカオリンは大丈夫かな。」


「もちろんだ。こちらがお願いしたいぐらいだよ。」


「是非是非お願いします。至福のときです。」


まあ全員が満足そうなのでいいかな。とりあえず2人とも気に入ったようなので良かった。

それから地上に戻ってからは各自解散したが、帰り道冬なのに無性にアイスクリームが食べたくなり、コンビニで買って帰って家で食べたが、最高に美味しかった。

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