誤解

ピンポーン


とりあえず家の前まで来たので呼び鈴を鳴らす。なんか変に緊張してきたぞ…。


ガチャ


「あっ!来たね♪ふふ、いらっしゃい♪」


「あ、はい…。お邪魔します…」


いや…。よくよく考えるとなんで俺、海斗の家に海斗がいないのに来てるんだ…?ちょっとおかしくね?って思うのは俺だけなのか…?


「飲み物は何かいる?」


「あっ…。じゃあ、緑茶をお願いします」


もしかして緑茶ってちょっと渋い?まぁ、どうでもいいか…。どちらにせよ、口の中がカラカラなんだよ。


「はい♪どうぞ♪」


「あっ、はい。ありがとうございます」


ふぅー…。とりあえず俺は緑茶を飲んで一息つく。最近は本当に色々なことが起こっているな…、としみじみ思った。


「それで、今日は何で俺ここに呼ばれたんですか…?」


これだけは聞いておかなければならない質問だ。なんでここに俺が呼ばれたのか理由がよく分からない…。俺何かやらかしたか?


「ん〜、そうだね…、翔君に会いたくなっちゃったからかな?」


えーっと…?俺に会いたくなったから?マジでどういうことなんだ…?俺と会っても良いことなんて一つもないと思うんだけどな…。いや、自分で言ってて悲しくなった…。


「俺とは会いたくなったからですか…?え…?それだけなんですか…?」


「うん♪あっ!でも会って直接聞きたいことがあったんだった」


やっぱり他にあったか…。でもなんだ?俺に聞きたいことって…。


「あのさ、海斗から聞いたんだけど…………なんか、お昼に女の子から呼び出されてたみたいだね……?」


あ、あれ…?な、なんかさっきよりも数段声のトーンが下がっている気がする…。な、なんかちょっと寒気もする…。


「もしかして、告白されたの……?そ、それで告白に対してオッケーしてデートの約束して今幸せの絶頂にいるとか…。あぁ…。もう遅かったんだ…。どことも分からない女の子に先を越されるなんて…。うぅ…。グスッ…。もっと自分の想いを早く伝えてれば…」


す、すごい早口だ…。早口過ぎてなんて喋ってるか分からない…。それに最後の方はなんか涙流してたし…。


「お、落ち着いてください!どうしたんですか…?」


「だって翔君が告白されたって…」


「い、いやされてないですよ…。俺がされるわけないじゃ無いですか…」


そうだ。俺が告白されるわけない…。女子に呼び出されてもどうせ海斗関係のことだと思うようにしているぐらいだ…。


「ほ、本当に…?本当の本当に…?」


「本当ですよ…?」


そんなに本当本当言わなくても本当のことなんだけどな。なんでそんなに焦ることがあるんだろうか?


「そ、そうなんだ…?はぁ……、よかったぁ…」


なんでよかったんだ…?ちょっとよく分からないぞ?まぁ、深く考えることもないか…。

とりあえず落ち着いたようでよかった。

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