ビデオ通話は刺激が強い

「じゃあ…、そろそろ私も帰るね…」


夏美さんはそろそろ帰るらしい。結構な時間この家にいたよな…。


「また来るね!」


「あっ…。はい…」


また来るのか…。ていうか来たところで俺の家別にすることないと思うんだけどな…。分からん…。


「あっ、今日の夜電話するかもだから今度はちゃんと出てよ?私寂しいから…」


「分かりました」


今日の夜電話か…。今度はちゃんと出られるようにしとかないとな…。


「じゃあ、またね!」


「はい…。さようなら」


そうして夏美さんは帰っていった。その後ろ姿が夕日とマッチしてさらに一段と綺麗に見えた。って俺なに考えてんだ…?



**

夜ご飯食べないとな…。そう思い、冷蔵庫を開ける。あっ、そういえば…。これ夏美さんが俺用に作り置きしてくれてたやつか…。しかも結構作ってくれている。スゲェ…。めちゃくちゃありがたいな…。


というわけで、俺は夏美さんの作り置きを食べることにする。夏美さんの料理美味しいからな、すごい楽しみだ…。


「いただきます」


いや、うまっ!作り置きでもこの美味しさ…。半端じゃないな…。なんでこんなに料理が上手なんだ…?しかもちょっと偉そうになってしまうが俺好みの味だ…。マジでプロ並みなんじゃないのか?


結局、俺は夏美さんの料理に夢中になってしまいたくさんあった作り置きを全部食べてしまうのだった。


**

お風呂から上がりリビングでテレビを見ている時に電話が鳴った。…………、やっぱ夏美さんだよな…。電話するかもとは言っていたが案の定来たな。


「はい、もしもし?」


「ふふっ、ちゃんと出てくれたんだね♪ありがとっ♪」


「どういたしまして…?」


分からない…。どうして電話を掛けてきてるのかが…。


「あっ!そうだ今日はビデオ通話にしていい?」


「?まぁ、いいですけど」


「本当に!?じゃあ、ビデオ通話に変えるね〜♪あっ、もちろん翔君もだよ♪」


「分かりました」


ビデオ通話、ビデオ通話か…。幼馴染のお母さんとビデオ通話ってなんか変なシチュエーションだな…。


「はい、切り替えまし………っ!」


「ん?どうかした?」


画面に映った夏美さんを見て俺は言葉に詰まってしまった。なぜなら、夏美さんがまさかのお風呂上がりだったからだ。


少し上気した頬に、まだ濡れている髪。また、結構ラフな格好をしているので正直刺激が強い。いや、強すぎる…。


あと、どうしたのって言うときの首をコテンとする仕草も可愛い……。いや、落ち着け俺…。相手は幼馴染のお母さんだ…。こんな感情を抱いてはいけないのだ。よし、こんなときは素数を数えるか。2、3、5、7…………

よし、大丈夫だ。ってそんな訳ないだろ…。


この後、電話で会話したのは他愛もない内容ばかりだったが俺はずっとドキドキしてしまうのだった。


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