デート4
ふぅー。食った食ったー。パスタおいしかったな。
昼食を済ませた俺達は軽めのアトラクションに乗りまくった。
恐らく夏美さんも俺のことを気遣ってくれたんだと思う。ジェットコースター的なものは一回も乗らなかった。
「じゃあ、次最後のアトラクションにしよっか!」
「あ〜、確かにもう結構いい時間ですもんね」
もうお昼というよりは夕方に近い時間帯だった。だからそろそろ帰り始めている人もいる。
「最後は何に乗るんですか?」
「観覧車!」
答えるの早っ!即答だったぞ…。最初から決めてたのか…?
**
というわけで今俺達は今観覧車の中で向かい合っている状況…。真ん前に座られるとなんか変に緊張してしまう…。
「最後に乗ってみたかったんだ…。頂上から見える夕日が綺麗で評判だっていうのを聞いたから…」
「あぁ、そうなんですね…。それは楽しみです…」
なにこの雰囲気…。夏美さんが急にしおらしくなった…。くっ、早く観覧車が一周して欲しい。
女性と二人きりで観覧車は俺には難易度高いですよ…。
そんなことを考えている内に観覧車は頂上まで到達した。すると外からは夕日が差し込んできた。
「綺麗だね…」
「そうですね…」
確かに評判になるのも分かるぐらい綺麗だった。オレンジ色が観覧車の中を染める。
ふと前を見ると夏美さんが真っ直ぐに俺を見ていた。どこか緊張しているようだった。
「あの…。今日は一緒に来てくれてありがとう…」
「いえ…。今日は特に予定もなくて暇だったので…」
「それでね…。今日は翔君に言いたいことがあったんだ…」
「言いたいことですか…?」
「うん…。あのね、わ、私翔君のことがす、す、す、…」
……
……
……
「す、寿司みたいだなぁって思ってたんだ…」
「は、はい…?お寿司ですか…?」
「そ、そう!例えるなら、マグロってカンジかなぁ…」
え、申し訳ないけどこの人本当に何を言ってるんだ?急に俺をお寿司に例えてきたんだがどういうことなんだ…?
「アハハ…。そうですかね…」
アカン。うまい返しが全く分からん。
「ご、ごめんね…。こんなことを言われても分からないよね…」
すごい変な空気になってしまった。
**
結局あの後、時間も時間だったので遊園地を出て電車に乗った。そして今は駅で降りてお互いの家に向かっている途中だ。
「ごめんね…。最後変なこと言っちゃって…」
「いや大丈夫ですよ。俺も楽しかったですし…」
別に謝られることではない。俺は今日楽しかったのだから。最初は少し緊張していたが一緒に遊んでいるうちにどんどん自然体になっていた。
「そっか…。じゃあまた一緒にデートしてくれる…?」
「はい。俺で良ければ」
「ありがとう…。じゃあ私こっちだから!」
「送りましょうか?」
「いや、大丈夫だよ!それじゃあまたね!」
「はい、さようなら」
**
(夏美視点)
はぁ〜。言えなかった…。翔君に言うつもりだったのに…。好きって。
あそこの遊園地の観覧車は出来て間もないけど結構有名な告白スポットになっていたから告白しようと思ったのに…。
でも、終わってしまったものはしょうがない…。次の機会だ…。
見てるだけで愛おしくなる、触れられるだけで心臓の音が激しくなるこの好きという気持ちだけはいつか絶対に伝える。だからそれまでは異性として見てもらえるようにがんばらなくちゃね!
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