夏美さん
まだ、靴脱いでいる途中なんだが夏美さんがずっと笑顔でこっちを見ている。海斗は先に自分の部屋に行ってしまった。
「あの、どうしたんですか…?」
「うう〜ん♪なんでもないよ〜♪」
なんでそんな上機嫌なんだ。あと、ずっとこっちを見ないでほしい。ものすごい美人だから結構恥ずかしいんだよな、マジで。
バッチリとした二重に茶髪の髪を背中のあたりまで伸ばしていて、パッと見二十代前半といっても過言ではないぐらいの容姿である。
また、何がとは言わないが出る所は出ていて
大人の雰囲気も醸し出している。ってなんで俺がこんなこといちいち解説しなきゃなんねーんだよ。
「おーい、翔!早く来てよ!」
おっと、海斗にお呼ばれしたわ。んじゃ、さっさと靴脱いで二階に上がるか。いち早くこの状況からも抜け出したいからな。
「ああ、すぐ行く」
二階に上がると海斗が勉強道具を広げていた。
「今日は勉強しよう!」
「えっ、嘘だろ?」
「いや本当だよ」
「い、嫌だ。勉強なんてしたくない…」
「ダメだよ、翔。勉強しないと。もうすぐテストだしさ、勉強しないとまた前みたいな点数とるよ」
「ぐっ…。ま、まぁ、その通りだが」
「だから、ほら勉強道具出して。教えてあげるから!」
こうして俺は勉強をすることになった。細胞レベルで勉強することを拒否しているという
のに…。
**
「ふぁ〜。もう無理だぁ〜」
「なんか早くない?まだ一時間もたってないよ」
「おいおい。冗談いうなよ」
「いや、マジだよ」
まだ一時間もたってないの?こんだけ疲れたのに?
受験勉強とかしないといけなくなったときとか俺どうしようか?このままじゃヤバいよな。でもそう思っていてもできないのが勉強なんだよ。
「あら〜。勉強してたのね♪私飲み物もってきたわよ♪」
俺が勉強で疲れていると夏美さんが部屋に入ってきた。
「ありがとう、母さん」
「ありがとうございます、夏美さん」
「ふふっ♪どういたしまして♪」
そうして夏美さんは戻っていった。
「なんか、夏美さん嬉しそうじゃなかった?」
「そりゃねえ、翔が来てるからだよ。だっていつも家に帰ったら翔のこと聞いてくるんだもん」
「ん?俺そんな気に入られるようなことしたかな?」
「う〜ん。あれはどちらかというと気に入っているというよりは…。いや、これは僕が言うことじゃないな」
「さっきから何言ってんだ?全く意味がわからんのだが?」
「翔がお父さんだったらいいなと思っただけだよ」
ん?もっと分からなくなった。でも、そういえば海斗の父親は家を出て行ったんだっけ。珍しく専業主夫だったらしいんだが子育ての疲れから逃げるように家を飛び出したらしい。そして、海斗があの時泣いていた理由もこれだった。
「ん?どうしたの、翔?そんな険しい顔して」
「いや、なんでもない」
別にこんなこと考える必要はないか。
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