世界最恐の傭兵が臓器移植で高校生に転生した件。～王配成り上がり物語～

第345話 呪術蹴球

　2022年末は、世界中が注目する行事が待っている。

　11月20日から12月18日まで、カタールにて行われるサッカーW杯だ。

　出場国は以下の通り（＊1）。

　2010年12月2日　カタール

　2021年10月11日　ドイツ

　2021年10月12日　デンマーク

　2021年11月11日　ブラジル

　2021年11月13日　フランス、ベルギー

　2021年11月14日　セルビア、スペイン、クロアチア

　2021年11月15日　スイス、イングランド

　2021年11月16日　オランダ、アルゼンチン

　2022年1月27日　　イラン

　2022年2月1日 　　韓国

　2022年3月24日　サウジアラビア、日本、ウルグアイ、エクアドル

　2022年3月27日、カナダ

　2022年3月29日　ポーランド、ポルトガル、ガーナ、セネガル、チュニジア、

　　　　　　　　　モロッコ、カメルーン

　2022年3月30日　メキシコ、アメリカ

　2022年6月5日　ウェールズ

　2022年6月13日　オーストラリア

　2022年6月14日　コスタリカ

　グループステージは4月2日の組み合わせ抽選会で既に決定している為、以下の通り（＊1）。

　グループA：オランダ、セネガル、エクアドル 、カタール

　グループB：イングランド、アメリカ、イラン、ウェールズ

　グループC：アルゼンチン、ポーランド 、メキシコ、サウジアラビア

　グループD：フランス、オーストラリア、チュニジア、デンマーク

　グループE：日本、スペイン、ドイツ、コスタリカ

　グループ F：モロッコ、クロアチア、ベルギー、カナダ

　グループ G：ブラジル、スイス、カメルーン、セルビア

　グループ H：ポルトガル、韓国、ウルグアイ、ガーナ

　トランシルバニア王国は欧州予選で敗退し、今大会も出場を逃したが、サッカー熱は熱い。

　ドイツ系移民は、ドイツを。

　フランス系移民は、フランスを。

　との感じで国民は、それぞれの祖国を応援する。

　その為、フランス人町では三色旗（トリコロール）が掲揚されるなど、トランシルバニア人でありながら、この時ばかりは祖国に還る国民が多い。

『———新型ウィルス大流行後、ほぼ初めての観客を入れた世界大会は、開幕を前に大いに盛り上がり―――』

　国営放送での特集番組に、ミアとヨナは興味津々だ。

「「……」」

　そして、ミアが煉に問う。

「呪術、使ワレル?」

「分からない」

「……呪術師モ居ナイ?」

「さぁ……?」

　呪術とサッカーは意外と縁がある。

　呪術が盛んなアフリカの一部の国々では、呪術師が対戦相手にかけたりする場合があるのだ。

・2002年　アフリカ・ネーションズカップのカメルーン－マリ戦

　カメルーンのコーチが試合前にピッチの上に何かを置き、それが「マリ代表を呪う行為」とみなされたという。

　アフリカサッカー連盟は、対戦国同士が相手選手を呪い合っては収拾がつかなくなるとして、この大会での呪術とその儀式を禁止していた（＊2）。

・2010年南アフリカ大会ではコートジボワール代表に呪術師が帯同（＊3）。

・2016年4月10日　サウジアラビアでの試合

『【強豪チームが黒魔術で敗戦?　…サウジ警察が呪いの罪で呪術師を逮捕】』（＊4）

　アフリカ出身の呪術師が一方の選手達に黒魔術をかけたとして、サウジアラビア警察が逮捕。

　観客に紛れながら競技場に侵入した容疑者には、試合中に黒魔術用のアクセサリーを使用した疑い。

　この試合で敗れたチーム（かけられた方）がサウジアラビア屈指の強豪チームであった為、敗戦は呪術師の黒魔術のせいと見なされた模様。

・2021年1月16日　カメルーン対ジンバブエ

『【「不自然にコウモリの死骸が…」カメルーンが“呪術”で公式戦勝利!? 敵将が仰天の訴えで話題に】』（＊5）

　トランシルバニア王国では王室公認の呪術師が居る為、もし、本選に出場できた場合、2010年のコートジボワール代表のように帯同する可能性もあるだろう。

「呪術ってどのくらい効くんだ?」

「個人差アル。精神病質者（サイコパス）ニハ効カナイ」

「じゃあ、大抵は効く?」

「訊ク。試ス?」

　妖艶に笑うと、ミアは文字通り、目の色を変える。

　赤や黄色、緑や紫などに。

「おお」

　煉が興奮するも、ヨナが止める。

「止（ヤ）メナサイ」

「グエ」

　手刀を頭に叩き込まれ、ミアは呪術を止めた。

「殿下、申シ訳御座イマセン。『魅了（チャーム）』ヲカケラレルト、性欲ガ爆発シ、一晩中暴レルコトニナリマス」

「まじか」

　淫魔（サキュバス）のような技に、煉は感心するのであった。

［参考文献・出典］

＊1：FIFA

＊2：J CASTニュース2014年6月13日

＊3：スポーツ報知は2010年6月10日付

＊4：サッカーキング　2016年4月15日

＊5：サッカーダイジェスト　2021年1月19日