第085話 頬張る ≪カトリーヌ・ド・メディシス≫

幼い恋と決別し、

故郷を遠く離れて嫁いできたというに、

夫となった男は、愛人の名を呼びながら妾を抱き、

彼を愛してしまった妾の心さえ二人で嘲笑った。


愛人の乳房めいたテーブルの上の焼いた肉。

カトリーヌ・ド・メディシスは、手掴みで頬張る夫を後目に、

ナイフで切ってフォークを刺して口に運んだ。



★☆★


カトリーヌ・ド・メディシスは、

フランス宮廷に食事の作法を伝えた王妃です。

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