第61話 ドラゴファイヤ。
洞窟の天井は空間の状態が少し揺らいでいた。下から見ると天井の壁がちゃんと見えるのに、思い切って飛び込むとそのまま外に繋がって。
祠の上空に現れたあたしはそのまま周囲を見回す。
森の方からガキン! ズドン! と、激しいぶつかり合いの音がする。
そして何合か打ち合う音が続いたあと、樹々の隙間から上空に飛び上がったグリフォンから風のヤイバが視認できるほどのトルネードとなって放たれた!
危ない! 追いかけて来たカイヤに向かって突き進むその竜巻に、
「カイヤ!」
と、あたしは思わずそう叫んでた。間一髪で避けたカイヤ。でも、もうすでにかなり被弾してる。満身創痍だ。
後ろから飛び出してきたティアも同じく傷だらけになっている。
カイヤもティアも肉弾戦は得意だけど魔法の火力が足りてない。なら!
「ドラゴファイヤ!」
あたしは右手のドラゴンオプスニルから炎の魔法を生み出す。
無数の火炎があたしの周囲を円を描く様に埋め尽くす!
「カイヤ! ティア! 下がって!」
そう声をかけると右手をグリフォンに向けて振り下ろした。
「トルネード・アタック!」
ドラゴファイヤ・トルネード!
向こうが風のヤイバなら、こちらは炎の竜巻だ。
避けようとするグリフォン!
「逃がさない!」あたしは手を振って、
右に飛んだグリフォンを追う様にドラゴファイヤ・トルネードの向きを変える!
ドワオーン!
着弾したその炎。これで倒せた? ううん。まだだ、よね。
——これくらいで倒せる相手なら苦労はしないわね。
うん。そうだねアリシア。
炎を振り払い現れたグリフォンは傷だらけに見えたけど、前方でクロスした両手をばっと開くと、
「この俺が、この俺が、お前らなどに負けるわけはないんだ!」
と、怒鳴る様に叫んだ。
そのまま大きく口を開く。
その口の奥が鈍い光に包まれたかと思うと、漆黒のブレスがこちらに向けて放たれた!
「シルヴァ!」
そう叫びながら左腕で前面を庇う。
あたしのその動作と共に前面の空間にホワイトファングの盾が展開。六角形の氷の結晶の様な形のその盾は、グリフォンから放たれた漆黒のブレスを完全に防ぎ切り。
右手を高く掲げたあたしはその手にドラゴンスレイヤーを顕現させる。
そしてそこにイカヅチを纏い、グリフォンに向かってその剣を振り下ろした。
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