第310話 本性
ついにエスパルザ本来の姿が顔を見せた。
ヤツは鍵を俺から奪おうと躍起になっているようだが……この鍵の力で自分は身を滅ぼしたというのに、それでもまだ執着するというのか。
さっきエスパルザが口にした「地獄からよみがえった」という話を聞く限り、ヤツは一度死んでいる。それでも、この力欲しさに何らかの理由で蘇生したというのか。
まさか……使用が禁止されている蘇生魔法を自分にかけていたのか?
こちらは総力戦で挑むも、ヤツの持つアイテムの力は俺が装備する三種の神器と遜色ないレベルだった。
――いや、むしろ数が多い分、ヤツの方が上。
このままでは押し切られてしまう。
でも、だからといって負けるわけにはいかない。
「うおおおおおおおっ!」
龍声剣に魔力を込めて、渾身の雷魔法をぶつける。
「ぐぅ!?」
これに対し、エスパルザは魔法でシールドを生みだしてこれを弾き返そうとする。
だが、ここにマシロの歌唱魔法とウィローズの攻撃魔法が加わり、ヤツのシールドを打ち破ることに成功する。
「バカな!?」
動揺するエスパルザ。
俺は魔法属性を風に変え、強力な斬撃を放つ。
「ぐおおおおおおおおおおっ!?」
暴風雨のごとく全身に降り注ぐ斬撃を真正面から受け止めたエスパルザはボロボロになってその場に膝をつく。
今の一撃はかなりのダメージになったはず。
勝利とまではいかないが、こちらが優勢であるというのは確信していた――が、事態はそう簡単なものではなかった。
「いい攻撃だった。少々焦ったよ」
エスパルザは無傷だった。
――いや、厳密に言うと違う。
ヤツは間違いなく大ダメージを負っていたが、あっという間に回復していたのだ。
これもまた装備するアイテムの力か。
ダメだ。
このままでは埒が明かない。
長期戦となると、レアアイテムの数の差でこちらが不利になってしまう。
一体、どうすればいいんだ。
「ようやく実力差を理解できて来たようだな」
俺が攻撃の手を止めたことで、エスパルザはそう理解したらしい。
「おまえにその鍵は扱いきれん。さっさと渡せ」
「断る!」
「ならば――死ね!」
エスパルザは反撃とばかりに炎魔法を放った。
それをなんとか避けようとするのだが――いかん。間に合わない。
ダメージを覚悟して目を閉じる。
だが、いつまで経っても魔法は来なかった。
何が起きたのかと目を開けたら、
「ぐはっ!?」
吐血し、急激に弱りだしたエスパルザの姿が視界に飛び込んできた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます