第237話 解錠スキル発動!
シェンディル王国にある謎の部屋。
金庫のように見えるその部屋の鍵をこじ開けるため、解錠スキルを発動させる。
「おぉっ……これが女神の鍵の力……なんと神々しい……」
女神の鍵の力を目の当たりにした国王はジッとこちらの様子を見つめている。国王だけじゃない。周りの兵士たちのリアクションを見るに、恐らく解錠スキルを見ること自体が初めてという者が多いようだ。
鍵穴は、俺が普段開けている宝箱よりもずっと大きい。
そのため、魔力を込めた鍵はドンドンそのサイズをアップさせていく。そして、鍵が大きくなっていくたびに周りの兵士たちのボルテージも上がっていった。
「す、凄い!」
「どんな宝箱でも開けられるというだけはあるな!」
「ついにこの部屋の謎が解かれるぞ!」
めちゃくちゃ盛り上がってきたな……本音を言うと、ちょっと集中力をそがれるのでもうちょっと静かにしてもらいたい。
喧騒に惑わされつつも、そこは慣れたもの。
部屋の鍵穴にフィットするサイズまで大きくなると、そいつを差し込む。それを回転させると、「ガチャ」という音とともに扉が少しだけ開いた。
「やった!」
「ついに開いたぞ!」
「こうも簡単に……」
長年に渡って謎に包まれていた扉が、ついにその全貌を明らかにさせる。
ただ、扉はかなり分厚くて重量があるため、俺ひとりの力では完全に開けることはできなかった。
「よくやってくれた。あとは俺たちに任せてくれ」
ワグナーさんは俺の肩に手を添えてそう答えると、周りにいる兵士たちへ声をかけた。
「ノブにロープをかけて引っ張るぞ」
「「「「「はっ!」」」」」
兵士たちはワグナーさんの指示に従い、ドアのノブにロープをかけると頑丈に縛りつけて引っ張り始めた。
「こういう力仕事は俺に向かないな」
「
ミルフィに労いの言葉をかけられて、ホッといき息つく。他のみんなからもお疲れ様と声をかけてもらったのだが、
「――って、あれ? イルナは?」
「ロープを引っ張るのに参加しているわよ」
「えっ!?」
見ると、屈強な兵士たちに紛れて最後尾にイルナの姿があった。確かにうちではパワーのある方だけど……周りに比べて場違い感が凄い。
でも、その気迫は見習わないとな。
「よし! 俺たちも参加しよう!」
「えっ? 私たちもですか?」
驚きの声をあげたのはジェシカだった。
「なんというか……何かしたいって体がうずくんだ」
「それ、私も一緒」
「じゃあ、やりましょう! 少しだけでも力になれるかもしれませんし」
トーネも俺と同じ気持ちだったらしく、ゆっくりと手を上げながら言う。それにマシロも賛成した。マシロは本当にポジティブになったなぁ。
そんなことを考えつつ、俺たちも参加してロープを引っ張る。
すると、徐々に扉が開いていき、ついに部屋の中身が明らかとなった。
そこにあったのは――
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