第206話 ガーネスの最後
精霊女王として覚醒したマシロ。
ドン・ガーネスはその強大な力を手に入れようと、解錠レベル四桁を超える超大物アイテムを用意して待ち構えていたようだが、結局、それでマシロを支配することはできなかった。
ついには俺たちに関する記憶もなくし、暴走を始めたマシロであったが、なんとかそれも食い止めることができた。
「よかった……」
崩壊の止まったガーネスの屋敷。
そこで、俺は気を失っているマシロを抱きしめながら、そう呟いた。
最後の最後――記憶が戻ったかのように思えたが、果たして本当に俺たちのことを思いだしたのか……これはマシロが目を覚ましてから確認することにしよう。
「フォルト!」
「マシロさん!」
マシロの暴走が止まったことで、イルナたちも駆け寄ってきた。
「大丈夫なの!?」
「息はあるけど、意識は……」
そうなのだ。
マシロのめちゃくちゃな歌唱魔法が止まり、記憶がよみがえりつつあるかもしれないという現状に胸を撫で下ろしていたが――実際はそんな簡単な話じゃない。
マシロは未だに意識を失った状態でいる。
もしかしたら、最悪の場合……このまま一生目が覚めないかもしれない。
その時、
「大丈夫か!」
俺たちに声をかけたのは、カタルスキーさんだった。その後ろからはフォーバートさん率いる聖騎士団。そのあとからは同じ
「一体何があったんだ?」
目を閉じたままのマシロを見て、カタルスキーさんが心配そうに尋ねてくる。
俺は……どう答えたらいいか分からず、黙ったままだった。
他のメンバーも口が重い。
ただ、それだけで最悪の事態が発生しているかもしれないという状況は、居合わせたすべての人に伝わったようだ。
「なんてことだ……」
バッシュさんは両手で顔を覆い、マシロの置かれた状況を嘆いた。
――しかし、これだけの主力クラスがこの場にいるということは、
「外の状況はどうなりました?」
「大体は片付いたよ。――そうだ! ガーネスはどうなった!?」
思い出したように、カタルスキーさんが迫る。
そのガーネスだが、イルナが二階の足場を破壊した際、俺たちと一緒にこの一階まで落ちてきたので、この辺りにいるはずだが――
「っ! あそこですわ!」
最初にその存在を発見したのはウィローズだった。
俺たちに見つからないよう、こっそりこの場から逃げだそうとしていたらしい。自慢の甲冑たちも瓦礫に埋もれて動けないようだし、さすがに手詰まりとなったか。
すかさず、フォーバートさんたち聖騎士団がガーネスを取り囲む。
「ここまでだな、ガーネス」
「聖騎士フォーバート……!」
どうやら、ガーネスとフォーバートさんは因縁がありそうだな。
聖女ルナリア様絡みだろうか。
ガーネスは身柄を拘束された。
これで一件落着――となりたいものだが、すべてはマシロのこれから次第だな。
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