第156話 解錠士《アンロッカー》として
「いつかは直接お会いしたいと願っておりましたが……いやはや、このような形で実現するとは夢にも思っていませんでした」
マルクスさんは感慨深げに言う。
でも、バッシュさんと知り合いで、俺のことを聞いているなら話は早い。
「先ほどのA
「厳密に言えば、彼はそれを決める判定員のひとりです。これまで、
「曖昧な存在?」
その意味を理解しきれなくて、俺はマルクスさんに問う。
「騎士にとっての騎士団や、冒険者にとってのギルドのように、我らを統括するような組織はありません。常にフリーで、報酬の規定もバラバラ……そのせいで、ドン・ガーネスのような、悪徳な
それはバッシュさんも危惧していた。
これにより、一部の
バッシュさんはこの現状をどうにかしようと奔走していた。
自身も
氷雪のダンジョンで出会った、同じく
そんな中で、解錠士をレベルごとに階級分けするという試みを実施しているらしい。
それを実行しているのが、「協会」と呼ばれる組織。
「先ほど言っていた、協会というのは?」
「
「その組織の代表者って、どんな人なんですか?」
「
聖女ルナリア。
世界トップクラスの
もしかしたら……その人なら、俺の持つ女神の鍵について何か知っているのかもしれないな。
「すべてはまだ試験段階。それに……強権を持つ
「……でしょうね」
せっかく手に入れた莫大な富が失われるかもしれないものな。
……でも、この世界では、宝箱からドロップするアイテムが人々の生活に多大な影響をもたらす。だから、冒険者はダンジョンに潜り、命懸けでお宝をゲットする。しかし、その中身を手に入れるためには、
そこで依頼を受けられなければ――せっかく手に入れた宝箱は、何の意味も持たなくなってしまう。
それを知っているから、一部の
「…………」
聖女ルナリア、か。
まだ会ったことはないけど……その考えには俺も賛同できる。
「……マルクスさん」
「なんだい?」
「その聖女ルナリア様には――どこへ行けば会えますか?」
自然と、そんな質問が口をついたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます