第三話
「ちょっと、繭子のところに行ってくれ」
漆川が加賀に命じた。
「戸川様のところにですか」
加賀が怪訝そうな声を出した。
「そうだ。何か」
漆川が上から押し潰すように聞いた。
「いえ、別に」
加賀が逃げるように声を引き上げた。
車がタワーマンションの方に向かう。
そしてマンションに着くと、漆川は何か
に急かされるように繭子の
部屋へ向かった。
エレベーターに乗ると、同乗していた
男が目的階を聞いてきた。
漆川が目的階を告げると、男は
黙ってボタンを押した。
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