第10話 オーナーの日常そして凶報
トントントントン
パタパタパタ
ん……朝か。
リビングから聞こえる音に目が覚めゆっくりと目を開けると、目の前に白く柔らかい物が視界を埋めていた。ミレイアのおっぱいだ。
どうやらおっぱいに挟まれながら寝ていたらしい。
相変わらず大きい。昨晩もこのおっぱいには大変お世話になった。風呂場では湯に浸かりながらミレイアの胸に後ろから頭を挟まれつつ、クロースに潜水艦をしてもらたりなど最高のひとときを過ごした。
うん、結局クロースに背中を流してもらうことを禁止できなかったよ。
正直女の子にあんなことをさせて責任を取らないといけないとは思ってる。クロースは周りに人がいようがいまいが関係なく、和やかな会話からいつもシモの話に持っていき勝手に興奮して暴走したり、俺とシュンランとミレイアの夜の営みを覗いているフィギュアサイズの土人形から聞いた話をハンターやダークエルフの従業員の女性たちにバラしたり。なぜか自分もシテもらってると嘘をついたり。そしてその内容が俺がドS的なものだったり。土人形を使って部屋から俺の脱ぎたてのパンツを回収させ、後をつけてみたらクロースが自分の部屋で俺のパンツを顔に当て、全裸で自慰していたり。
彼女はそういった変態な所もある。それはもう多々あるが、それを除けば優しくて素直でまるで少女のような可愛い所がある女性だ。それは一緒に生活するようになり今まで以上に感じている。なにより少しキツ目だが整い過ぎというほどの顔立ちで、褐色で健康的な肌なうえに胸もお尻も大きい。
これだけでクロースの悪い部分は相殺されると言っていいだろう。そのうえ心底俺のペニグルを愛おしそうに舐めるあの舌技。初めて本物にしたと言っていたのに俺は数分で達してしまった。そしてその舌技は日に日に進化していっている。
あんなことをさせたんだ。責任は取らないといけない。でもなぁ……色々させてしまった俺が言うのもなんだけど、クロースは身体目当て全開過ぎるんだよな。未知の経験をしたいのと、一族のために子供を作りたい気持ちしかないように思えてしまう。いや、好きだと何度も言われてはいる。しかし日頃の行いから、恥ずかしそうに下を向いて告げるその視線が俺の股間を見てるんじゃないかと疑ってしまう。
多分俺とクロースにはムードというかそういうのが必要なんだと思う。
一度二人きりで岩山の別荘に行こうかな。そういえば最近は二人きりでゆっくり話したことがなかったな。どう見てもクロースを受け入れているというか応援していそうなシュンランとミレイアに、俺のクロースに対する気持ちを伝えた後。クロースに可愛い女だと思っていることや、婚約者としてではなく恋人として受け入れたいと伝えるか。なんだかあれだけ恥ずかしいことをさせておいて今さら感はあるが、これはやるべきだろう。
「あ……」
「おっとごめん。起こしちゃったか」
俺がクロースとのことをミレイアのおっぱいに吸いつきながら考えていると、頭上から彼女の艶かしい聞こえてきた。
俺はおっぱいから口を離し、目が覚めたミレイアに軽くキスをした。
「ん……おはようございますリョウスケさん」
「おはよう。ミレイア」
キスのあと俺の胸に顔を埋めるミレイアの頭を撫でながら答えた。
彼女が動いたことで、布団の中に籠っていた空気が漏れ鼻腔をくすぐる。
その匂いはとても甘い。これは昨晩何度も嗅ぎ俺を興奮させたミレイアの体臭や体液の匂いだ。この匂いに似た物をおれは知っている。それは相変わらず俺を見かけるたびに誘惑してくるサキュバスのアンジェラとイザベラ姉妹が発する匂いだ。彼女たち曰く、サキュバスとインキュバスの体臭は異性を興奮させる効果があるらしい。魔力が高い者ほど強い効果を発するのだとか。
ミレイアはハーフだからそういう体質を受け継いでいるんだろう。しかし困ったことにレベルアップしたことで、その効果は日に日に強くなっている。
今もだ。昨晩あんなに彼女の中に出したのに、朝の生理現象との二重効果で俺のペニグルはギンギンだ。
「あ……リョウスケさんこんなに……その……しますか? 」
俺のペニグルの状態に気づいたのだろう。ミレイアが手を伸ばし握りながら上目遣いでそう口にした。
「ああ、してもらっていいか? 」
「はい。私のせいでごめんなさい」
ミレイアが自分の体質のことで謝ってくる。
「いや、朝の生理現象ってのもあるし、こんな可愛い子が全裸で寝ていれば誰だってこうなる」
「ふふっ、ありがとうございますリョウスケさん」
俺の言葉に柔らかい笑みを浮かべたミレイアは、そう言って布団の中に潜った。
少しして俺のペニグルがヌメっとした暖かいもので包まれ、俺は彼女の頭を撫でながらその快感に身を委ねた。
☆☆☆☆☆☆
朝からスッキリして朝食を終え、狩りの準備をしてから先に部屋を出るとエントランスはお客さんでいっぱいだった。
ダリアを中心にダークエルフの従業員の女性たちが退去手続きと、開門と同時にやってきたハンターたちの入居手続きを慌ただしく対応している。
エントランスの入口ではサラたち棘の警備隊と、竜王のところから派遣された竜人2人がハンターたちに睨みを効かせながら警備をしている。正直屈強な竜人が毎朝来てくれるようになってから、ハンターたちの殴り合いの喧嘩が無くなった。
そりゃ喧嘩なんかしたらAランク《ミスリルランク》相当の彼らに外に放り投げられるからな。いや、比喩じゃなくて本当に放物線を描いて飛んでいくんだ。誰も狩りの前に大怪我したくないからおとなしくしているよ。竜王が迷惑をかけているからと派遣してくれたリキョウ将軍には感謝しかない。
それにダークエルフの存在も大きい。ここにやってくるハンターたちよりもみんな強いしな。
しかしダークエルフを受け入れて本当によかった。カルラたちの警備の負担も減ったし、受付や清掃。そして蒸留酒造りに燻製作りまで全てやってもらえる。飛竜が来ても街に到達する前にスーリオンたちが倒してくれるし、俺がやることが無くなってしまった。
そのうえダークエルフの戦士たちは強い。燻製肉の匂いに釣られてやってきた飛竜が街に到達する前に、地面から無数の石槍を射出して串刺しにしてしまうんだからな。飛竜が放つ火球も石壁を瞬時に出して簡単に防ぐ。鉄槍に関しては作り出せるのはほんの一部の者だけで、俺ほど大量に作り出せないようだが射出系は地上げ屋よりも発動が早い。
このように精霊魔法は石槍を射出したりゴーレムを作って戦わせたりと汎用性が非常に高い。少し作るのに時間はかかるが体高5メートルの石のゴーレムを作り出した時は、俺の中に眠っていた子供心がくすぐられてついついはしゃいでしまった。さすが戦士のほとんどがBランク《ゴールド》ハンターなだけはある。
ダークエルフ街区の住民にはそんなBランクの戦士が50名はいる。非戦闘員の女性たちもここに来てから戦闘訓練をしているらしく、恐らくCランクほどの力はあると思う。老人たちも森での狩りは無理だが、防衛戦なら戦士以上の精霊魔法が使える。さすがに子供は戦力にならないが、それを除いてもいざという時は200名以上は戦える。もう戦闘民族と言っていいだろう。ほんと精霊魔法が強すぎるんだよな。
そんな従業員としても防衛要員としても優秀な彼らを受け入れたのは正解だったと思う。そしてそんな優秀なダークエルフだが、どうも最近ハルラス族長のところに魔国にいる他のダークエルフたちから派遣された土精霊が頻繁にやってきているらしい。最初は族長が自分たちが逃げたことで、魔国に残したほかの里の者たちがひどい目にあっていないか心配し精霊を向かわせんだ。もちろん詳しい場所を秘密にすることを条件に俺が許可した。
相当非難されたのかと思ったが、滅びの森に移住して本当に大丈夫なのかと心配されたそうだ。族長が安全な場所で保護してもらっていると言っても信じてくれなかったらしい。その後は定期的に族長が各里に精霊を送り、俺が竜王を動かしてダークエルフをデーモン族から解放することも伝えたそうだ。
それから魔王が用意した土地に移り住むことが決まり、もうここの場所を教えても大丈夫だと族長に伝えたら、感謝の気持ちを伝える精霊があっちこっちから送られてきているそうだ。どの里の長老も一度ここに礼を言いに来たいと言っているらしい。それに対して俺は来年ならと伝えてある。
この街を見たら移住したいと言われそうだが、さすがに2千人以上残っているダークエルフ全員は無理なので少しずつならと答えるつもりだ。タワーマンションを建てるためには固定の入居者を増やした方がいいが、魔石との兼ね合いもあるし敷地も拡張しないといけない。いくらダークエルフが役に立つとはいえ、何年もかけて少しずつ受け入れていかないとタワーマンションをいつまで経っても建てることができなくなる。デーモン族に搾取されていた頃よりは生活が良くなっているはずだし待ってくれるだろう。
そんなことを考えながらエントランスで待機しているハンターたちからの挨拶に手をあげて応えていると、準備を終えたシュンランとミレイア。そしてクロースが部屋から出てきた。
エントランス奥の部屋からは、こちらへと向かってくる革鎧を身に纏ったサーシャとリーゼロットの姿も見える。
皆が完全武装だ。が、相変わらずクロースは黒革のショートパンツ。リーゼロットは若草色のチュニックで生足を出している。見ている分には目の保養だが、二人とも寒そうに羽織っている外套を引き寄せている。そんなに寒いならズボンを履いて欲しいと思う。
「それじゃあ揃ったかな。今日は北西の狩場に行こうか」
俺は揃った皆に向けてそう声をかけ正門へと歩き出した。
すると背後からサーシャの元気な声が聞こえた。
「今日も私のギフトでパワーアップさせてじゃんじゃん狩らせてあげるわ! 」
「おお、アレはいいものだからな。私が精霊魔法だけではなく、短剣でも戦えるところをリョウスケにアピールするぞ。今度こそオーガの首を刈ってやる」
「クロース。オーガに吹っ飛ばされたのをもう忘れたのか? 接近戦はオークまでだ。それ以外はミレイアの援護をしてくれ」
「だ、大丈夫だシュンラン。今日の私は調子が良い。華麗なる短剣捌きでオーガを狩ってみせる」
「クロース。シュンランが遠回しに戦闘の邪魔だと言ってるのを察しなさいな。ほんと慎重なダークエルフとは思えないほど脳筋なんだから」
「なんだと貧乳エルフ! いや、確かに貴様のレイピアさばきは見事なものだな。邪魔な胸がないからさぞかし動きやすいのだろうな」
「偽乳に動きを制限されて、オーガに吹き飛ばされた滑稽な貴女に言われてもなんとも思わないわ」
「ぐっ……に、偽乳ではない! それはリョウスケがよく知っている! なあそうだろうリョウスケ? 」
「…………」
俺は背後から問いかけてくるクロースの言葉に聞こえないふりをした。周囲のハンターから向けられる視線が恥ずかしい。
反応したらダメだ。このまま早歩きで距離を置くんだ。
「リョウスケ聞いてるのか? 昨日も私の胸を揉んで張りがあって最高だって言いながらしゃぶっ——」
「ク、クロース! お前は俺の隣に来い。俺と話そう、な? 」
俺はとんでもないことを口にしようとしたクロースのもとへ瞬足で向かい、彼女の腕を引いて最前列へと戻った。
この馬鹿女。時と場所を選べとあれほど言ったのにまったくわかってない!
「あっ……なんだリョウスケ。私はあの勘違いエルフに真実を教えてやりたかったが、そんなに私と話したいのか? そんなに求められたなら仕方ないな。手を繋ぐか? 指を絡ませるのが恋人繋ぎらしいぞ? して欲しいならしてやるぞ? 」
「……そうだな」
俺は隣でニコニコしながら恋人繋ぎをしてくるクロースに、内心ため息を吐いた。
背後からサーシャとリーゼロットが、シュンランに俺とクロースが肉体関係があるのか聞いているが無視だ。リーゼロットが私もリョウの背中をとか言っているのが聞こえるが空耳だ。
そんなこんなで正門に着くと、出入口で何やらカルラが3人のハンターたちと話し込んでいる姿が視界に映った。
彼らの顔は何か焦っているように見える。強力な魔物に襲われて助けを求めにきたのか?
そう思った俺は隣にいるシュンランたちと顔を見合わせたあと、皆でカルラの元に駆け寄った。
「どうしたカルラ。何かあったのか? 」
「リョウスケ! ちょうどいいところに来た。いま呼びに行かせようと思っていたところなんだ」
俺が声をかけるとカルラは振り向き、緊張した表情でそう言った。
やはり魔物か?
「それで何があった? 」
「それがよ。ここから南に一日の距離にリョウスケが作った野営所があるだろ? そこに王国の騎士団が集まっているらしいんだ」
「王国の騎士団が!? 確かハインツさんでしたね。それは本当ですか? 」
カルラの言葉に驚いた俺は、報告してくれたであろう長い顎髭を生やしている顔見知りのハンターに確認した。
「ああ、オーナー。間違いねえ。どこの家かはわからねえが、間違いなく王国貴族の私設騎士団が複数いた。テントの数から千人以上はいると思う。奴らはここにくる途中で南街に繋がる街道を封鎖していてよ。俺たちは東を大きく迂回して急いでやってきたんだ」
「そんな! 本当に王国貴族の騎士団なの!? 」
ハンターの言葉にサーシャが血相を変えて詰め寄る。
「あ、ああ……姫さん間違いねえ」
「そんな……王命に逆らうなんて」
サーシャはショックを受けているようだ。
しかし複数の王国貴族の騎士団が千人以上か……道を封鎖してるってことは、間違いなくここが目当てだろうな。道理で開門と同時にやってきたハンターが獣人だらけだと思ったらそういうことか。
王妃が必ず貴族を抑えるとは言っていたが、まあ赤信号みんなで渡ればってやつだろう。帝国に知られる前にここを手に入れたいのかもしれないな。
予想通りと言えば予想通りだが、ここから南に一日の距離というのがまずいな。もっと早く知ることができれば良かったんだが……
さてどうするかな。
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