第20話 ダークエルフからの贈り物
俺は期待に胸を膨らませつつ、募集図面のタグをクリックした。
すると募集図面作成の画面が開き、何も書かれていないテンプレの募集図面の枠が現れた。
俺はまず最初に外観写真を貼り付ける場所をクリックした。するともともとヘヤツクに登録されていたマンションのテンプレ写真が表示され、数棟のマンション写真が現れた。
ヘヤツクにはあらゆる年代のマンションが百棟近く登録されていたはずだが、目の前には5棟くらいしかない。しかもどれも2000年代に流行ったマンションで古く、全て5階建てのマンションだった。
「ん? 5階建てしかないのか? タワーマンションはないのか……」
「5階だとタワーマンションとは呼ばないのか? 」
「ああ、天井が低いからな。25階建てくらいはないとタワーマンションとは呼ばないな」
王城はアホみたいに天井が高いらしいから5階建てでもかなりの高さになるのだろうが、タワーマンションの天井は3メートルいかないくらいだ。25階以上ないと女神が不法占拠したタワーマンションの高さには届かない。
そうシュンランに答えながら俺は取り敢えず一般的な長方形の形をしたマンションを選び、次に画面右側の構造や設備を入力する場所に書き込んでいった。
建物の造りは鉄筋鉄骨コンクリートで、高さは10階……はやっぱ書き込めないか。ここは5階にして、総部屋数は……試しに各階に1Kタイプを20部屋はさすがに……え? OKなの!? マジか! 写真の倍の部屋数はあるぞ!? 結構でかくなるんじゃないか? てか面積をいじれるなら高さも制限なしにしてくれよ! そこはバージョンアップしないと駄目ってことか。チッ、フローディアめ抜け目ないな……。
まあいいや、とりあえず最上階は俺たちの部屋とVIPルームにして、1階はエントランスと10部屋くらいかな? 2階から4階は20部屋で総部屋数は73部屋くらいにしてっと。
そうなると建築面積は体育館と同じくらいにはなるな。延べ面積は……まあこんなもんだろう。あと物件の立地かぁ。駅なんかないから滅びの森から0分? これでいいか。キャッチコピーはうーん……部屋から飛竜が見えます? そんくらいしか思い浮かばないな。まあ別に誰かに見せるわけでもないしいいか。
次に共有設備はエレベーターくらいでいいかな。オートロックは管理が大変だしな。というか24時間警備員がいるんだから防犯設備は必要ないだろう。もちろん宅配ボックスなんかもいらない。この世界に宅配会社なんかないしな。
ほかはバルコニーは必須だな。これで洗濯物を外で干せるようになる。あー、あと駐輪場もあるのか。これはいらな……待てよ? もしかしたらレンタサイクルとか設置できるかも。確かこの時期の賃貸マンションで流行ってたはず。書くだけかいておくか。それならエントランスに自販機コーナーもっと。
よし、共有部分はバルコニーと10人乗りのエレベータを入居者用に2基と、オーナー部屋直行用の1基設置して全部で3基。それと駐輪場と自販機コーナーでいいか。
「やはり涼介の国の文字は難しいな。あ、でもエレベーターというのは読めるぞ。これはなんなのだ? 」
夢中で入力をしていると隣で俺が入力した日本語を見たシュンランが、カタカナだけで書かれた設備がなんなのか聞いてきた。
シュンランとミレイアは有線から流れる歌で日本語に興味を持ち、俺に教えてほしいと言ってきたのでまずはひらがなとカタカナ。そして簡単な漢字を教えているところだ。
「自動で高い場所に人を運んでくれる装置のことだよ。10人をいっぺんに壁の上の高さまで運んでくれるんだ」
「自動でそんなに大勢を……どんなものなのか見てみたいな」
「ははっ、この募集図面が間取り図のように創造できれば見れるよ」
イマイチ想像できず首をかしげるシュンランを可愛いなと思いつつも、俺は次に俺たちが住んでいる3LDK部屋の間取り図と、代表的な1Kの図面を呼び出して募集図面の建物の外観写真の横に挿入した。
そして部屋の設備を入力し終えると、そこで初めて画面右上に必要魔石数が表示された。
「Dランク魔石1万5千個か……やっぱそれくらいするよな」
「Dランク魔石がこんなに必要なのか。マンションは高いのだな」
「まあね。でも魔石を貯めれば造れるだけいいよな」
普通マンションを建てるとなれば1年から2年くらいは掛かる。それを魔石さえあれば一瞬で建てることができるんだ。
しかし日本円にしたら1億5千万円かぁ。いや、むしろこれだけ大型のマンションを建てるのに安いくらいだろう。普通なら土地がタダでも3億円以上は確実にする。そのへんは初回サービスかなにかでまた安くなっているんだろう。
ここに来たばかりの時だったら卒倒しそうな価格だが、月に5千万円以上稼げるようになった今はそれほどでもないな。
それよりもこれだけ高額な価格が表示されるということは、マンションを創造することができるということだ。つまりこのマンションを建て、バージョンアップを重ねていけばいずれタワーマンションを建てることができる。
そこがゴールか。
今はまだ建てることはできない。けど冬までには魔石は貯まる。その時にタワーマンション建設の第一歩を踏み出すことができる。
いいぜフローディア。25階建てにするまで、どれくらい時間が掛かるかわからないけど建ててやろうじゃねえか。そしてこの世界に呼び戻してやるよ。その時に俺を強制的にこの世界に送ったことに文句を言ってやる。
俺は黄金に輝く画面をシュンランと眺めながら、タワーマンションを建てフローディアに文句を言うのを楽しみにするのだった。
☆☆☆☆☆☆☆
「凄い……本当にこんなに立派なマンションが建てれるんですか? 」
夜。部屋に戻った俺は夕食後に間取り図のギフトを発動し、ミレイアへ募集図面を見せた。
ソファーで俺の右隣に座り、横から画面を覗き込むミレイアはマンションの外観写真を見て信じられないと言った様子だ。
「ああ、魔石さえ貯まれば可能だよ」
「魔石……1万5千個!? Dランクの魔石がそんなに必要なんですか? 」
「まあ建物と部屋付きだからね」
73部屋あるわけだし、部屋だけでも8千個は必要になる。やっぱ初回割引がきいてるよな。
「確かにお部屋がこんなにあるなら高くはないのかも。でもなんだか新しい設備があってワクワクします。あっ! これは読めます! エレベーターですよね? どんなものなんですか? 」
「フフッ、それはだな……」
ミレイアの疑問に俺の左隣に座っていたシュンランが得意げに説明を始めた。シュンランからエレベーターの説明を聞いたミレイアは、目を見開いて凄いですと驚いていた。
そんな二人にまだ説明していなかったレンタサイクルと自販機コーナーの話をしようとした時。リビングに来客を告げる呼び鈴の音が響き渡った。
「あっ! お客さんみたいです。私が出ますね」
「ああ、頼むよ。こんな時間に誰だろう? 」
リビングの入口に設置してあるテレビモニター付きインターホンに向かうミレイアに礼を言ったあと、シュンランへとそう話しかけた。
「さあな。クロースがミレイアを誘いに来たのではないか? 」
「もう落ち着いたのかな? それなら可能性はあるな」
なんか里に同年代の友達がいないみたいだったしな。またミレイアと話したくなったのかもな。
「あ、長老さんにスーリオンさんにクロースさんも? 」
「長老とスーリオンたちが? なんだ? 」
俺はインターホンを見て発したミレイアの言葉を聞き、シュンランと顔を見合わせた。
「長老もか。落ち着いたから改めて礼でも言いに来たのではないか? 」
「ああ、そうかもしれないな」
昨日一昨日と里の様子を見に行った時に何度も礼を言われてるんだけどな。律儀な人たちだ。
「ミレイア、中に入れてあげてくれ」
俺はインターホンの前で判断を待っているミレイアに中に入れるように言った。
☆☆☆☆☆☆
「長老いらっしゃい。さあ座ってください」
ミレイアによってリビングに誘導された長老とスーリオンたちを出迎えた俺は、三人にソファーに座るよう促した。
「リョウスケ殿、夜分に申し訳ありませぬ。失礼します」
「突然悪かったな。先ほどまで集会をしていてな。こんな時間になってしまった」
「集会? まあいいさ、夕食も食べ終えたところだし」
向かいのソファーに座りながら詫びる長老と大きな袋を持ったスーリオンに、俺は気にしないでくれと答えた。
ん? クロースがやけにおとなしいな。緊張しているのか? 何度もここに来たことがあるのに? なんだ? 何か大事な話でもあるのか?
「リョウスケ殿。改めてリスクを承知で我らを受け入れていただいたうえに、あのような立派な家をお貸しいただきありがとうございます。遅くなりましたがこれは里の皆からの礼の品でございます。少ないですがお受取りください」
長老が頭を下げそう言ったあと、スーリオンが手に持っていた大きな袋をテーブルの上に置き開いた。
口のあいた袋の中にはBランクからDランクの大小様々の魔石が入っていた。
「長老。何度も言わせないでください。賃料は人を貸してもらえることで相殺すると言ったはずです。ですのでこれは受け取れません。着の身着のままでここまで来たんです。服や道具などまだまだ揃えないといけない物が多くあるはずです。この魔石はそれを購入するのに使ってください」
俺はそう言って袋を押し返した。
ったく、今まで何度も断ったのになんでまた俺に魔石を渡そうとしてきたんだ?
「やはり受け取っていただけませんか……では魔石や金貨でなければ受け取っていただけるのですね? 」
「ええ、そういう約束でしたから」
警備員やマンションの管理用の人員を派遣してくれればそれでいい。マンションを建てたら部屋が一気に増えるしな。俺とカルラたちだけじゃ手が足りない。ほんと、いいタイミングで来てくれたよ。
でもなんで改めてそんなことを聞いてきたんだ?
俺は向かい側で長老の真剣な表情とスーリオンのどこかホッとした顔。そしてさっきよりも更に緊張している様子のクロースを見て首を傾げた。
「そうですか。ではクロースをお受け取りください」
「え? それはどういう……」
クロースを受け取れ? どういうことだ?
「リョウスケになら妹を託せる。嫁にしてやってくれ」
「さ、里のためだ。よ、嫁になってやる。あ、ありがたく思うのだな」
「は? え? ええーーーっ!? 」
俺はスーリオンの初めてみたかもしれない爽やかな笑顔と、顔を真っ赤にして嫁になると口にしたクロースの言葉にソファーからひっくり返りそうになるくらいに驚いた。
「そう来たか……」
「びっくりです……」
両隣にすわっていたシュンランとミレイアもまさかの展開に驚いている。
「な、なんだその反応は! 嬉しくないのか!? 私を嫁にできるのだぞ! この身体を毎晩好きにできるのだぞ! よ、夜でなくともそ、倉庫でしたくなった時にいくらでも……」
「こらクロース! 今日はおとなしくしていると約束しただろう! 断られたらどうするのだ! 」
胸元のあいた服の上から両胸を揉みしだき、内股でもぞもぞして暴走し始めたクロースをいつものようにスーリオンがゲンコツで黙らせた。
「アイタッ! も、申し訳ございません兄上……」
「ゴホンッ……リョウスケ殿。クロースは根はとても優しい子です。子供好きで里の子どもたちや私の孫も可愛がってくれており、子どもたちも懐いております。きっと良い妻になるでしょう」
長老はすぐ横で起こっていたクロースの暴走を、まるで何も無かったかのように笑顔でクロースを勧めた。その笑顔は俺には詐欺師のそれに見えた。
「あ〜その……お断りします。クロースは確かに優しく魅力的な女性ですが、俺にはシュンランとミレイアという二人の恋人がいます。二人を差し置いてクロースと結婚することなんてできるわけない」
長老に対し俺は頭を掻きながら、なるべくクロースを傷つけないよう言葉を選んでそう答えた。
「そんな……」
スーリオンにゲンコツを喰らい、頭を押さえていたクロースが泣きそうな顔で俺を見上げている。
悪いなクロース。結婚をするとしたらシュンランとミレイア以外には考えられないんだ。二人を差し置いてクロースと結婚するなんてできるわけない。
「そうですか。たしかにそうですな。これは私どもが拙速でした。ではまずは婚約者として側に置いていただけませんでしょうか? そうしていただければ里の者も安心いたします。どうかお願いいたします」
「同じですよ。俺にはシュンランとミレイアが……」
「涼介。私たちのことはいい。クロースを置いてやれ」
再度長老へ断りを入れようとしたらシュンランが遮り、クロースを受け入れるように俺に言った。
「ええ!? どうしてそんな……」
俺は思いもしなかったシュンランの言葉に驚いた。
なぜシュンランはクロースを婚約者として受け入れることに賛成するんだ?
「涼介さん。ダークエルフの皆さんは不安なんだと思います」
「ここ以外に住む場所が無くなったのだ。オーナーである涼介のところに一族の者が嫁いだほうが安心できる。わかってやれ」
「そういうことか……」
俺はミレイアとシュンランの言葉に、なぜ長老がクロースを嫁に差し出したのか納得した。
ダークエルフたちは何百年も住んでいた土地を捨て、高い税を払わなくて住む新しい土地に移住することができた。しかもそこには今まで住んでいたところとは比べ物にならないほど良い家が用意されていた。
なのにその土地の所有者は金銭を受け取らず、人だけ提供してくれればいいという。
重税に苦しめられていた彼らからしてみれば到底信じられるものではない。そこで少しでも安心できるよう、俺が気に入っていたという噂のあるクロースを嫁に差し出すことにしたんだろう。スーリオンが言っていた集会というのはそれを決めるための集会だったんだろうな。
「リョウスケ殿。決してリョウスケ殿を信じていないわけではありません。ですがここを追い出されるかもしれないという不安はどうしても残ってしまうのです。我らにとってはやっと戻ってこれた森なのです。ここを拠点にいつか失った故郷の精霊の森を取り戻せるかもしれないと、里の者たちは希望に満ちております。そのためには、どうしてもこの場所を失いたくないのです。どうかご理解いただけますようお願いいたします」
「リョウスケ。私からも頼む。里の者たちを安心させて欲しい。そしてクロースをどうかかわいがってやって欲しい。リョウスケしかおらんのだ」
「涼介。私たちには彼らを招いた責任がある。私たちのことは気にするな。クロースとならうまくやれるさ」
「私もクロースさんとなら仲良くできます。ですから私たちのことは気にしないでください」
「そうはいってもな……」
シュンランたちにプロポーズもしてないのに、クロースを婚約者として受け入れるのは無理だ。
なによりクロースだって嫌……そうには見えないな。
俺はスーリオンの横で、この世の終わりのような顔をしているクロースを見てそう思った。
まあ俺もそこまで鈍感な男じゃない。クロースの気持ちはわかってる。典型的なツンデレだよなこの子。
「そんなに私が嫌……なのか? ぐすっ‥‥私はリョウスケとならと……うわあぁぁぁん! 兄上えぇぇぇ! 」
そのクロースはスーリオンに抱きつきとうとう泣き出した。
「涼介」
「涼介さん」
「うっ……わかったよ。俺もクロースのことは気にはなっている。でもやっぱりシュンランとミレイアが俺にとって一番なんだ。だからメイドとして家に置くのならいい。婚約とかそういうのはそっちの里の中の話だけにしてくれ」
号泣するクロースと、シュンランとミレイアの責めるような言葉に俺はクロースを受け入れることを決めた。正直あのキス以来彼女を気にはなってはいたし。
それでも婚約者としてではなく、あくまでもメイドとしてだ。気にはなっているが、今のところ恋人にだってなるかもわからない。
「なかなか身持ちの堅い御仁ですな。人族は何人でも嫁を作りたがると聞いておったのだがな」
「それだけ誠実な男なのでしょう。ほらクロース。婚約者としてではないが、ここに置いてくれるようだ。あとはお前次第だ。頑張るのだぞ」
「ぐすっ……はい兄上。一緒に住めさえすればリョウスケは私の魅力に我慢できなくなるでしょう。身ごもってしまえばこっちのものです」
「うむ。人族とできるかはわからぬが頑張るがいい。勇者と同等の存在であるリョウスケとの間の子ならば、いずれダークエルフを一つにまとめる存在となろう。期待しているぞ」
「私の子がダークエルフの……はい! 必ずやリョウスケとの子を身ごもってみせます! 」
「おい……」
俺は目の前で隠すことなく話しているスーリオンとクロースにドン引きしていた。
「ククク、私たちも負けないようにしなければな」
「はい……私も涼介さんとの赤ちゃんが欲しいです」
「二人とも俺がクロースに手を出すことを前提に話してないか? あくまで住み込みのメイドとして置くだけだからな? 誤解しないように」
俺はクロースに軽く対抗心を燃やしている二人にそう釘を差した。
「そうだな。まあ時間の問題だと思うがな」
「ふふふ、最近涼介さんはクロースさんを意識しているみたいですし」
「そうなのか!? フッ、そうだろう。こんなに魅力的な女はそういないからな。いいだろう。リョウスケが着てほしいならメイド服でもなんでも着てやろう。まったく、メイド服姿に興奮するなど、変態な男を相手にするのも大変だな」
「お前に言われたくねえよ! 」
シュンランたちの言葉に調子に乗ったクロースに、俺は全力でツッコミを入れた。
「フォッフォッフォッ、これだけ仲が良ければ安心ですな」
「はい。時間の問題でしょう。リョウスケ。妹を頼むぞ」
「お前ずいぶん今日は機嫌が良さげじゃねえか……」
俺はクロースという厄介な妹を押し付けることに成功し、まるで憑き物が落ちたかのような清々しい顔をしているスーリオンにそう毒づいた。
「なに、リョウスケになら安心して託せるというだけだ。それほど信頼しているのだ」
「よく言うよ……」
俺は口もとに笑を浮かべているスーリオンにそう返した。
ったく、まさかこんな展開になるとはな。
あ〜もう裸エプロン姿のシュンラントミレイアを見れなくなるのか。夜もあまり大きな声を出させられないな。俺の楽しみが……
せめてクロースの部屋は遠くに作ろう。うんそうしよう。
もうすぐ秋を迎えようとしていた頃。こうして俺とクロースとの同居生活が始まったのだった。
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