弐場 二

「あそこがその女と会った場所なんやな」


「そうだ、見てくれあの円形の跡、あそこで雷の直撃を喰らったんだ」


三人は寺の上の広場に来て昨夜、術を喰らった状況を検分していた。


「なぁ、吉。何でこの真ん中だけ何ともないんや?」


「なんでかな……俺と弁慶がいた場所なんだがここだけ無傷だったんだ」


「ほうかぁ。で? 女はどの辺におった?」


「ここだ」


吉右衛門は森の入り口のすぐそばまで駆けていく。


「……なんもわからんなぁ」


下の寺を見張っていた弁慶がしきりに手振りで何かを伝えている。こっちに来いと言っているようだ。


「あそこ、正門の手前」


方形に二重にはめぐらされている寺の塀の二つあるうちの外界との接点、正門とその反対側にある裏門。どちらも二重の塀をこの二つの門でまとめて出入りできるようにしている。昼間であっても人の出入りは極端に少ない。


その寺の境内の正門の右手に鮮やかな朱色の小袖を着た女が確認できる。昨晩は、ほとんど詳細を確認できていなったのだが、今ここから見えている範囲では子供の様にも見え無くないが……誰かと話をしているのは見て取れた。


「あん娘か?」


靜華が二人の間から半身乗り出して指差している。


「そうだ。と思う」


今まで背を向けて誰かと話していた娘がこちらに振り返り金色に光った。


「やばい! 逃げろ!!」


三人は振り返り、森を目指して全力疾走を始める。その刹那、景色が全て白色になり轟音と共に爆風が襲いかかってきた。


「危なかった……」


さっきまで寺を見ていた崖のふちが20m程、消滅していた。


「外したんか? 外れたんか?」


靜華が考えている。


「お前ら、とにかくここから逃げるぞ!」


広場を離れ山道を下りながら、


「靜華、わかったか? あれにやられたんだ」


靜華に話すと靜華は


「あれは、降天の巫女や。しかしなぁ。誰やねん!! 誰でもあらへんねん!! ふざけんなや!!!」


苦しい心の叫びが声になって出ている。どうしようもなく怒っている。靜華がここまで大きな声を上げるところを吉右衛門は見たことが無かった。


「……妹やねん……こん感じはあの子やねん……」


そっと誰にいう事なくつぶやいた。

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