伍場 五

「なぁ、おかしいと思わへん?」


次の日の朝、屋敷の奥座敷で靜華は庭を見ながら吉右衛門に話題を振った。


「あんたとウチ……出かける先に刺客が現れよる。これってなんなん?」


指で自分と吉右衛門を指して考えごとを始めた靜華だ。


「あんたの一人の時、私一人の時、あの屋敷のお化け退治の後、あれは爺っちやけどな。そんでな、昨日のあれや。明らかにつけられているか、はなっから行く場所がわかっていたとしか思えへん。昨日の四十人はじゃぁ行くぞって集められるんかいな? だから、ウチらの行き先がわかっていたんとちゃうん? あんた、誰ぞに話したんか? 思い出してみ」


昨日、二人は精退治の後に待ち伏せを受けた。その相手が馬場頼政の郎党頼種なのだ。当然、これも撃退したのだが、その時の頼種勢の反応が霧の中にいる様で発見が遅れたと靜華は後から語っている。



「……話はしていないが……全部に共通点があるぞ」


「ほう。なんぞ気付いたか? 吉右衛門はん」


「ああ。全部、平家の息のかかった奴からの依頼だ。」


二人は基本的に金になるものは断らない。そして、ここのところ多かったのは平家、或いは一門、郎党からの依頼だ。よくよく考えればそいつらが依頼してきている場所に俄然性がない。そこに精が居ようと居まいと依頼主には何の問題も無いところばかりだった。最初のうちは人気取りのため位と考えていたがそういう目で見るとやはり、それは不自然極まりないのだ。では、何故か?


「靜華、何でだろうな? 目的だよ」


「それは、わからんなぁ。ウチをさらって何が良いことあるん? 何をさせたかった? あんな大勢で囲んで何がしたかったん?

現実の裏に隠れてはる本当の目的を突き止めなぁ。真実にはたどり着けへんよ」


「何上手い事言ってやったみたいな顔してんだ?」


「やらせて~な……

ウチはな、一つ一つが実は全部裏で繋がってるってことが言いたいんよ。ただ、目的がわからん」


「目的なぁ……仮定だがなお前の力が目的だとしたら?」


「そうやねん。でも、ウチをさらう迄はええわ。でも、殺してどないするん? 昨日のあれはウチらが反撃せな本気でやるつもりや。そしたら、終わってまうやろ?」


「そうだなぁ。実は、試してみたいことがある。一緒に来い、靜華。次は俺たちが攻める番だ!!」

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