第126話 もしや、これは。
扉を開けた先には望さんが立っていた。オレは―
「なんで、ドア閉めるの」
開けた扉を閉めた。閉めたら中から望さんの苦情が出た。苦情と共に扉が開いた。
見るとほっぺたが『ぷ―――っ』と膨らんでいた。そこだけ見ればやっぱり、ちょっと年上のお姉さん、大学生ぽい。
扉を閉めたのには理由がある。
「なんでドレス着てるかな」
「いや、そのこれはだな―その、り、亮介の小説を読んで勉強したんだよ!お約束?そんなやつだ」
「あ―明らかに勉強する方向間違えてますね」
「えっ、だってお約束通りのヒロインってかわいいポジションじゃないか、亮介の小説」
「あ―かわいいポジションですけど。属性が『ポンコツ』ですよ、あのキャラ。望さんもポンコツだけど」
「ポンコツいうな、もうせっかく何かしらのリアクションを期待してだな―」
「あ、うん。きれいですよ。でも、ほらその―む…」
「む?若作りして『ムカつく』の『厶』か!?」
「なんで会って早々、オレはケンカ売るんですか。違います―胸の、その露出が多いかなぁ、と」
「えっ、あ!アハハハっ!仕方ないよ、ウェディングドレスなんだから」
オレはちょっとざわざわした。何だろか。いや簡単だよな、簡単。そうだよな、そう。なんでざわざわしたか。
それはなんで望さんがウェディングドレスを持っているのか。その使う予定、いや着る予定とかあるか。
オレは自分のことでダメだなと思う部分として、嫌なことがあると黙ってしまう。
今日だってせっかく会えたのだから黙ったら悪いし、何より時間が勿体無い。いつもなら、他の人になら聞かないのだけど望さんには聞こう。
「望さんちょっと聞きたいんですが」
「ん?どうした、なに?」
「その―ウェディングドレスなんですが―その、なんで望さんがウェディングドレス持ってるんですか?着るんですか?着る予定とかあるんですか?誰かと着るんですか、誰かの隣でもう着るんですよね、何てウェディングドレス着たいんですか?そのそれはやっぱり誰だとケッコンの予定とか―」
「亮介、りょうすけ、ちょっとタイム!タイムだ。なんだ、どうした来るなりいきなり。まぁ、上がって落ち着いて話そう。いや、先には言うとこのウェディングドレスは友達が使った物を貰ったんだ」
「えっ、あれ?友だちの?」
「いや、てっきり望さん急に結婚が決まったのかと」
「きのうの今日だぞ。急すぎだろ。大体もし仮にそうだとして亮介が来るのにその、ウェディングドレスは着らなだろ」
「いや、その本番前に練習がてらとか?」
「あの、年上のクセに生意気な―いや、勘違い的な発言していいかな」
「勘違い?」
「いや、そのさっきのって、もしかして私は『ヤキモチ』を焼かれたとおもっていいのかなぁ、と。もしそうなら
確かにオレはヤキモチを焼いた。知らない誰かに。存在しない誰かに。これはもしや―
🌿『欄外連絡』🌿
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次週より月曜休載日になります。
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