第38話 なんの用だろ?
「そうなんだ」
どうなんだ?オレはオレに問い質したい。
今ビデオトーク中。
京子と公園プチデートを終え無事帰宅後諸々の用事を終え、ようやく中間テストの勉強に取り掛かろうか、そんな矢先ビデオトークの着信音。
おかしいなぁ、京子は別れ際に『流石にテスト勉強しなよ』そう言われた筈なのに。
そうかそうか、それでもちょっと顔が見たいのか『
『ちゃわっす』
最近巷の女子の間ではこのあいさつ流行りか?
そういえば佐々木もしてたよなぁ…
「亮ちゃん、お久!」
佐々木咲乃だった。
ビデオトークは京子としかしたことがないので、京子だと思い込んで相手確認せずに通話したがまさかの佐々木。
しかも画面に浮かぶ佐々木咲乃は明らかに『湯上がり』上気した顔色が妙に色っぽく、しかもキャミに軽くて何か羽織っただけの姿。
思考が凍結した。そのあられも無い姿にもだし、佐々木からの突然のビデオトークに。
まずオレが浮かんだのは『
佐々木咲乃はオレのマブダチ京順の彼女だ。彼氏の前でこの姿なら『ありありのあり』だろ。
なんてハレンチなふたりなんだ、オレは心で握り拳を作った。
「ねぇ、亮ちゃん聞いてる?あれ、音声状態悪いのかなぁ?もし―も―し?」
あれ?勘違いではない風。
オレに用事で掛けてきたのか。なんの用だろ、バイト絡みなのは間違いないだろう。
佐々木とはバイト以外の接点はないのだから。
「あっ、ごめん。佐々木からだからびっくりして。どうした?なんか業務連絡か?」
「咲乃って呼んでくれないと何にも教えない、実は何にも教えることないんだけどね、カノジョだと思ったの?トーク」
オレは佐々木のあっけらかんとした話しぶりについ『うんうん』と頷いてしまった。
「亮ちゃん素直なのは良いけどさぁ、私も女子なんだよなぁ。何回もスマホの前でさ『掛けよかな』どうしょうなぁってさ、正座したりウロウロしてトークした乙女心に配慮ほしいなぁ、と要望します」
「あっ、あぁ」
しどろもどろ。いや、実際どう答えていいやらわからん。
佐々木のハイテンショントークでなければとっくに白けモード突入してたろう。
「オレに用事?掛け間違えとか?」
「なんで掛け間違えてるのに部屋の中ウロウロとしたエピソードいるわけ?そもそも誰とかけ間違えるのよ。何より掛け間違えてこんだけしゃべるって私どんだけおっちょこちょいさん?」
いや、佐々木ならありそうだ。掛け間違えた相手でも延々話すコミ
そうなるとオレに用事があってオレ宛に掛けてきたってことか、当たり前だけど。そうなると、なんの用だろ?
「佐々木何の用?」
「だから、咲乃って呼んでくれたら教えてあげる」
何なんだバイト先以外でも「ミセカノ」中なのか?『見せ掛けのカノジョ』ミセカノ。
なんか意味深な表情してる。なんなんだ?
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